札幌 老舗ホテル 廃業へ 売り上げ回復見通し立たず 新型コロナ

札幌 老舗ホテル 廃業へ 売り上げ回復見通し立たず 新型コロナ
政府の緊急事態宣言が北海道で継続されるなか、新型コロナウイルスの影響で売り上げ回復の見通しが立たないとして、札幌市内の老舗ホテルが閉館することを決めました。
札幌市の繁華街、すすきの地区の近くにある「札幌第一ホテル」は、来月20日で閉館し、廃業します。

このホテルは客室数が70ほどの中規模な施設ですが、昭和27年に開業した札幌市内では老舗のホテルです。

しかし、新型コロナウイルスの影響でことし3月ごろから売り上げが去年の同じ時期の1割ほどに落ち込んでいました。

会社ではこのまま営業を続けても資金繰りが厳しくなると見込まれ、およそ100人の従業員の退職金に充てる資金を確保できる今のうちに閉館することにしたと説明しています。

札幌市内の主要ホテルが加盟する協議会によりますと、加盟しているホテルの廃業は初めてだということです。

札幌第一ホテルの米澤佳晃社長は「これ以上経営を続けると従業員や取引先に多大な迷惑をかけてしまうので廃業することにした。残りの1か月で、客や取引先に68年間の感謝の思いを伝えるとともに閉館することをおわびしたい」と話しています。

宣言継続 札幌の飲食店からは窮状を訴える声

緊急事態宣言が北海道で継続されたことを受けて、札幌市の飲食店からは窮状を訴える声が出ています。

このうち、札幌市中央区にある「SOUPCURRYGARAKU」は、席を減らして客どうしの間隔を確保するなど感染防止の対策を強化し、昼に限定して営業を継続していますが、4月以降は売り上げが去年の時期と比べて9割以上、減っているということです。

北海道で政府の緊急事態宣言が継続されたことについて、店長代理の山口武之さんは、「解除の基準に達していないため宣言が継続されたことは理解はできるが、現場の感覚からすると本当に厳しく、真綿で首を絞められているようだ」と話しました。

そのうえで「店としては早く緊急事態宣言を解除してもらい、通常どおりの営業に戻したい。このままではウイルスによる直接的な被害以上に、経済的な被害が出てしまうのではないかと危惧している」と訴えました。

函館 ホテル休業でクリーニング会社も厳しい経営

北海道で緊急事態宣言が続く中、函館市ではホテルの休業が相次ぎ、取引先のクリーニング会社も厳しい経営を迫られています。

函館市に工場があるクリーニング会社では市内にあるホテルから注文を受け、シーツや枕カバー、タオルのクリーニングを行っています。

北海道新幹線の開業や好調なインバウンド需要を受けて、去年6月におよそ8億円をかけ、工場に大規模な設備投資を行ったばかりでした。

しかし、新型コロナウイルスの影響で取引先の14のホテルのうち9つが休業してしまい、工場の稼働を4日に1度に減らす対応を余儀なくされています。

道南トリニティの奈良傳三社長は「緊急事態宣言で観光客が来ない状況が長引いている。多くのホテルが休業を余儀なくされ、関連の産業にも深刻な影響が出ているのが実態で、非常に厳しい状況だ」と話していました。