新型コロナ感染防止 各地の学校では工夫凝らした新ルール

新型コロナ感染防止 各地の学校では工夫凝らした新ルール
各地の学校では新型コロナウイルスに感染しないよう、それぞれ工夫を凝らした新たなルールが21日も作られています。

「下級生ファースト」

岡山県内の多くの自治体で21日から小中学校の授業が再開されました。

瀬戸内市にある小学校では、児童が密集しやすい場所の利用は下級生を優先する「下級生ファースト」など、新型コロナウイルスへの感染を防ぐ新たなルールを設けています。

瀬戸内市では21日からすべての小中学校で授業が再開され、牛窓東小学校ではマスク姿の子どもたちが21日朝測った体温を教頭先生に報告してから校舎に入りました。

そして、6年生の17人は、再開にあたって学校が設けた感染を防ぐための新たなルールについて、担任の先生から説明を受けました。

具体的には、密集しやすいトイレや玄関などでは下級生を優先する「下級生ファースト」に取り組むことや、えんぴつや消しゴムを友達どうしで貸し借りしないこと、そして、休憩時間ごとに換気することなどを定めています。

また、トイレや手洗い場の前には印をつけ、1メートルほどの間隔を空けて並ぶよう指導しています。

6年生の1人は「ようやく学校が再開されてうれしいです。下級生を優先するなどルールを守って学校生活を送りたい」と話していました。

岡村彰紀教頭は「子どもたちが安心して学校に通うことができるよう、できるかぎりの感染防止策を講じたい」と話していました。

体育の授業はマスクなし

臨時休校が続いていた岡山市内の公立の小中学校は21日、1か月ぶりに授業が再開されました。

学校生活ではマスクの着用が求められる一方、体育の授業では必要ないとされていて、中学校では生徒たちがマスクを外してグラウンドを走っていました。

岡山市内の公立の小中学校は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、臨時休校が続いていましたが、21日、1か月ぶりに授業が再開されました。

岡山市東区にある山南中学校では1年生の体育の授業が行われ、生徒たちはマスク姿でグラウンドに集まりました。

そして、50メートル走を行い、間隔を空けて整列した生徒たちは、自分が走る番になるとマスクを外してスタートしていました。

学校生活で、児童・生徒はマスクをつけることが求められていますが、スポーツ庁は、熱中症などのリスクを避けるため、体育の授業ではマスクの着用は必要ないという見解を示しています。

生徒の1人は「久しぶりに体育の授業ができてうれしい。友達と一緒にいるのが楽しいです」と話していました。

一方、岡山市教育委員会は、水泳の授業については、プールや更衣室で生徒どうしの距離が近づくことが避けられないとして、ことしは行わないことを決めています。

山南中学校で体育を担当する須澤孝則教諭は「すべて予定どおりというわけにはいきませんが、できるだけの対策を取って授業を続けたい」と話していました。

給食はおかわりや会話なし

岡山県和気町の小中学校では21日の授業再開に伴って給食も始まり、配膳や食事も感染防止に気を配りながら行われました。

和気町では、すべての小中学校で21日から授業が再開され、これに伴って給食も始まりました。

このうち、和気中学校の1年生のクラスでは廊下で配膳をする際に給食当番とほかの生徒が近づきすぎないよう間についたてが設けられ、当番の生徒がそれぞれの机に給食を並べていきました。

ふだんは「おかわり」をする時に、じゃんけんをしたり、話が盛り上がったりすることもありますが、感染のリスクが高まると考えて、担任の先生は、すべてのメニューで余りが出ないようにしていました。

また、食べる時には、これまでは向かい合って座り会話を楽しんでいましたが、21日は全員が同じ方向を向いて座り、静かに食べていました。

男子生徒の1人は「友達とじゃんけんをしておかわりできる人を決めるのが楽しいんですが、感染を防ぐためにはしかたないと思います。決められたルールをしっかり守りたい」と話していました。

和気中学校の小林健校長は「安全を最優先に考えながら子どもたちの意見も聞いたうえで、充実した学校生活になるよう工夫を続けたい」と話していました。

ふだんは使用禁止のスマホをオンライン学習設定

新型コロナウイルスの影響で休校が続く広島県呉市の高校では、生徒たちがふだんは学校で使用禁止のスマートフォンを使って、自宅でのオンライン学習のための設定を行いました。

呉市の県立呉宮原高校では、先月16日から臨時休校となっていますが、今週から、希望する生徒は登校して学習できる「自主登校」が始まっています。

21日は2年生が午前と午後に分かれて登校し、このうち午前のグループは通勤ラッシュを避けて10時となった始業時間に合わせて1教室20人以下になるよう分散して着席しました。

生徒たちは、今後も集まって授業を受けるのが難しい場合に備えて、ふだんは学校で使用禁止のスマートフォンを使って、先生の指導を受けながらオンラインシステムにつなぐ設定の作業を行いました。

そして、実際に健康状態が記入できるかや、先生やほかの生徒の顔を見ながら会話ができるかを確認していました。

学校では、今後、オンライン学習を取り入れながら授業を行いたいとしています。

生徒たちは「友達や先生の顔を見ると心も元気になるので顔を見ながら話したり勉強したりしたい」と話していました。

県立呉宮原高校の奥原義尚校長は「ICT=情報通信技術は学びを止めないための大きなツールで、コロナが終息したあとも活用して学びを多様化することが必要だ」と話していました。

仮設の手洗い場設置

新型コロナウイルスの感染予防に重要な、こまめな手洗いに役立ててもらおうと、愛知県北名古屋市では市内すべての小中学校に仮設の手洗い場を設置することになりました。

北名古屋市の小中学校では、今週から分散登校が始まっていて、21日と22日、それぞれの学校の校庭に仮設の手洗い場を設置する作業が行われています。

市内の建設会社12社が無償で設置していて、師勝南小学校では21日、作業員2人が4メートルのパイプなどを組み立てていくと、30分ほどで完成し、パイプにある5つの穴から水が出るようになりました。

そして早速、避難訓練を終えた児童たちが教室に入る前に、念入りに手洗いをしていました。

5年生の男の子は「手洗い場が少ないと授業に間に合わなくなる子もいたので、増えてよかったです。洗う回数も増やしたい」と話していました。

設置作業を行っている北名古屋市建設業協議会の池山悟会長は「子どもたちのためにできることはないか教育委員会に相談したところ、手洗い場が必要とのことだったので、ふだん使っている建設資材で設置しました。地元の子どもたちが、少しでも安全に生活できる一助になればうれしいです」と話していました。