緊急事態宣言 関西解除は妥当 諮問委員会が見解

緊急事態宣言 関西解除は妥当 諮問委員会が見解
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緊急事態宣言の解除をめぐり、政府が専門家に意見を聴く「諮問委員会」が開かれ、大阪など関西2府1県で解除するとした政府の方針は妥当だとする見解が示されました。東京など首都圏の1都3県と北海道は、宣言が継続されることになります。
新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言の解除を前に、政府が、感染症の専門家などに意見を聴く「諮問委員会」が午前10時ごろから開かれました。

冒頭、西村経済再生担当大臣は、「8都道府県のうち、京都府、大阪府、兵庫県では、直近1週間の新規感染者の報告数が、10万人当たり0.5人程度以下となり、医療提供体制や監視体制も十分と認められることなどを総合的に勘案し、宣言を解除することが妥当と判断される」と述べ、関西2府1県で宣言を解除する方針を諮問しました。

このあと西村大臣は、記者団に対し、関西2府1県で解除するとした政府の方針は妥当だとする見解が示されたことを明らかにしました。

東京など首都圏の1都3県と北海道は、宣言が継続されることになります。これを受けて、政府は午後、衆参両院の議院運営委員会での報告と質疑を経て、21日夜開く対策本部で正式に決定することにしています。

諮問委 会長代理「1都3県はまとめて考える」

諮問委員会の会長代理を務める川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は、記者団に対し、「関東の1都3県は、総合的にみてまだ完全に落ち着いているとは言えないという判断になった。今後の1都3県の扱いについては、まとめて考えたほうがいいということで了承された」と述べました。

そのうえで、「10万人当たりの新規感染者数が、宣言の解除の目安としてひとり歩きしているが、医療提供体制もしっかり考慮すべきだ。その際は、自治体だけでなく、医療関係者の受け止めもしっかり確かめてほしい」と述べました。

神奈川 黒岩知事「1都3県一体判断はありがたい」

諮問委員会に出席した神奈川県の黒岩知事は、記者団に対し「首都圏の1都3県を同じ生活圏として、一体で判断してもらえたのはありがたかった。諮問委員会では、神奈川県の感染者の数の多さについて議論になったが、感染経路がわからない患者の割合は、東京都のほうが高いという指摘もあった。東京・神奈川で感染を十分に封じ込められていない中で宣言を解除すると、また一気に感染者が増えるおそれもある。1都3県の扱いについては、来週また総合的に判断していくことになると思う」と述べました。

千葉 森田知事「首都圏一体は妥当」

千葉県を含む首都圏の1都3県で緊急事態宣言が継続されることについて、森田知事は「首都圏は一体と考えるのが妥当だ」と述べて理解を示す一方、図書館と美術館などについては宣言の解除を待たずに22日以降、休業要請を解除する方針を示しました。

21日の定例の記者会見で森田知事は「1都3県は経済的にも社会生活でも密接なので、一体と考えるのが妥当だ」と述べました。

千葉県は解除を判断する目安の1つとなる「直近1週間の新たな感染者数が10万人当たり0.5人程度以下」という基準をすでに満たしていますが、森田知事は「千葉県だけ先に解除して人が集まったら困るので現段階での解除は難しい」という認識を示しました。

そのうえで、千葉県としては宣言の解除を待たずに、まずは図書館、博物館、美術館について感染防止対策を徹底したうえで、22日以降、休業要請の一部を解除する方針を示しました。また、千葉県として今後、休業要請の緩和や解除をどう進めて行くかなどについて、22日、具体的な計画を発表したいとしています。

埼玉 大野知事「残念だが致し方ない」

埼玉県を含む首都圏の1都3県で緊急事態宣言が継続されることについて、大野知事は21日夕方、記者団に対し、「一刻も早く宣言を解除して頂いて、通常の状況に戻ることを以前から希望していたが、特に東京で陽性率を含めまだ心配なところもある。連休後に行動が緩んでいるという報告もあるので、首都圏一体の対応として埼玉県を解除しなかったことは残念だが致し方ない」と述べました。

一方、大野知事は22日午後、県の対策本部会議を開き、学校の再開に向けた方針のほか外出自粛や休業要請の緩和に向けた具体的な指標を示すことを明らかにしました。

経済専門家「マーケットに大きなサプライズない」

経済の専門家として前回から諮問委員会の委員を務めている、東京財団政策研究所の小林慶一郎研究主幹は記者団に対し、「首都圏の宣言の継続は予想されてきたことなので、マーケットにとって大きなサプライズではないと思う。今後、宣言を解除する場合は、市中感染の把握と感染者への対応が確実にできるように、検査能力や感染者の隔離体制を増強することが大事だ」と述べました。

関西解除 「朗報だが対策継続を」

大阪など関西の2府1県に出ていた緊急事態宣言が解除される見通しになったことについて、全国のスーパーが加盟する日本チェーンストア協会の井上淳専務理事は、「段階的にではあるが日常生活が徐々に元に戻ってくるという点では朗報だと考えている」と話しました。

一方で、「緊急事態宣言が解除されても、コロナとの闘いがすぐに収束するわけではない。店舗も感染拡大防止の対策をとっているが、来店する際にはお客様にも防止策の継続をお願いしたい」と述べ、引き続きマスクの着用や客どうしの距離をあける対策をとるよう呼びかけました。