新型コロナ 広がる透明シート

新型コロナ 広がる透明シート
感染防止をはかるために透明のシートを使った間仕切りがスーパーだけでなくさまざまな場所で広く使われるようになっています。日常に深く浸透するようになりつつある透明のシート。そこには注意点もあるようです。(ネットワーク報道部記者 和田麻子 大石理恵)

こんな形でも!?透明シート

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、ことし2月末から休館を続ける、熊本県宇土市の競輪とオートレースの場外車券売り場です。営業の再開に向けて5月の大型連休から感染防止策の本格的な準備を始めました。
1階の券売機の前では人と人の間におよそ2メートルの間隔を確保できるよう足型の目印を設置したほか一定の間隔を保ってイスに座れるようにテープをはって1列ごとに空けるようにしました。

それに加えて…

「シートの通路」を設置

ホームセンターで購入した木材と透明のテーブルクロスを使って券売機1台ごとに“シートの通路”を設けました。顔が十分隠れる高さにテーブルクロスを貼って横に並ぶ人の飛まつ感染も防ごうというのがねらいです。

これまでレースは無観客で行い車券はインターネットで販売してきましたが、売り上げは低迷。高齢者のファンが多くインターネットになじみがないと見られ、売り上げの回復には感染防止策を徹底したうえで場外車券売り場を再開させることが欠かせないと判断したからです。

「サテライト宇土」「オートレース宇土」の柳原茂男場長は次のように話しています。
柳原場長
「予期せぬ感染防止対策に追われ、どこまでやれば感染が防げるかわからず、戸惑っていますが正直、死活問題となっていて営業再開に向けてできるかぎりの対策を講じたいです」

“寺子屋”でも

さらにこんなところにも透明シートが活用されていました。SNS上に投稿されたのは、英会話のレッスンをする先生と、子どもたちの写真。先生と子どもたちの間は、大きな透明のシートで仕切られています。

投稿したのは愛知県岡崎市の萬福寺というお寺。少し気になって電話をすると、半田了靖 和尚が話を聞かせてくれました。

寺では、英会話や書道、それにピアノ教室など、地域の子どもらを集めた「寺子屋」を感染防止をはかったうえで、再開したということです。
和室のかもいに物干しざおや伸縮型の突っ張り棒をひっかけて、透明のシートをかけました。シートで先生と子どもたちがそれぞれ区切られて“密”にならない工夫が施されています。
さらに、お堂で開く書道教室は、ホームセンターで購入したパイプハンガーに、透明のシートをかけて、授業ができるようにしました。

シートのある生活が日常の一部になりつつあることについて、どう感じているか聞きました。
半田了靖和尚
「シートやマスクがないかつての生活のほうがいいに決まっています。特に英会話の授業は、先生とハイタッチやハグができなくなって、子どもたちが少しさみしそうに見えます。ただ、こんな時だからこそ、かつての生活の大切さがわかるのだと思います。つらい時だからこそ、触れ合えることのありがたさを感じつつ、子どもたちには安心してレッスンを受けてほしいです」

売り上げは2倍に

人が対面する場所に透明のシート。以前なら不自然に見えただろう景色にもだんだん慣れてきたように思います。

東京に本社がありプラスチック製品の製造・販売を行っている「石塚」によると、先月のシートの売り上げは、例年の同じ時期に比べておよそ2倍に増えたということです。飛まつを防ぐため、コンビニやスーパー、病院やバス、タクシーなどで幅広く使われているそうです。
熊谷弘司社長
「これまでは工場で使用されるものでしたのでここまでの需要や広がりは想定していませんでした。今後は感染の状況を見ながら、在庫を多めに持って対応していきたいです」

注意点は

暮らしに広がる透明のシートですが気をつけなくてはならないこともあります。

専門家は、火災が起きた場合は火が燃え広がるおそれがあるとして注意を呼びかけています。防炎性能に関する認定や試験を行っている日本防炎協会によると、感染防止策のシートが通常の「カーテン」と見なされる場合、高さ31メートル以上、おおむね11階建て以上の高層の建物や、地下街、病院や飲食店などでは燃えにくい加工がしてあるものを使うよう消防法で定められているそうです。

ただ、感染を防ぐ目的で各地で設置されているシートが「カーテン」にあたるかどうかは大きさや形状などによっても見解が分かれるそうです。

顔の前だけを隠すようなものは規制の対象にならないと見られ法的には防炎の性能がないシートでもOKということになります。

とはいえ感染防止策をとりながら火災のリスクを下げる工夫は必要だといいます。
日本防炎協会 小澤祐紀さん
「燃えにくい加工がされている製品が手に入れば使ってもらいたいですが、それらがない場合も対策はあります。例えば、飲食店などでは揚げ物を調理するフライヤーなど火元から離して設置すること。もしくはガラス板など燃えないものに変更するといった方法もあります」
さらに、シートを火災報知器の妨げにならないように設置するのも大事なポイントだといいます。
小澤さん
「煙を感知する報知器の場合、煙がシートで遮られて反応しないおそれがあります。天井にピタッと貼り付けるのではなく、天井の近くをなるべく空けて、吊り下げてもらうといいと思います」
ふだんの暮らしの中でのさまざまな工夫が求められる「withコロナ」の時代。暮らしに直結しているだけに、単に感染対策だけを考えていればいいというわけにはいかないようです。

感染リスクから身を守るためのシートは、火災の対策にも気をつけながら安全に取り入れていくことが大切だと感じました。