新型コロナ「緊急事態宣言 解除後も見えない感染」尾身会長

新型コロナ「緊急事態宣言 解除後も見えない感染」尾身会長
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新型コロナウイルスへの対応をめぐり、衆参両院の予算委員会で参考人質疑が行われ、政府の諮問委員会の尾身茂会長は「緊急事態宣言の解除後も、見えない感染が続いていると考えるべきだ」と述べ、社会経済活動を段階的に再開しながらも、感染防止の取り組みは続ける必要があることを強調しました。
このうち、衆議院予算委員会で政府の諮問委員会の尾身茂会長は「皆様の懸命なる努力のおかげで、感染は今のところ、確かに、収束の方向に向かっている。東京都を例にとれば、3月上旬か中旬の、感染者が急速に増加する直前のレベルまで戻っている」と述べました。

そのうえで「緊急事態宣言が解除されたとしても、見えない感染が続いていると考えるべきだ。冬の到来を待たず、再び感染の拡大が起こることは十分予測される。社会経済活動を徐々に再開しながら、感染拡大防止のための努力を継続することが極めて重要で、メリハリのついた対策が求められる」と述べました。
また、政府の専門家会議の脇田隆字座長は「医療現場は非常に疲弊していたが、現場の努力と行動で、何とかできた。流行は収束の傾向にあるが、緊急事態宣言の効果についてはさらに解析し、今後の対策にどう生かせるか評価していきたい。最終的にはワクチンの開発まで長丁場の対応が必要になってくる」と述べました。
参議院予算委員会で、諮問委員会の委員を務める慶應義塾大学の竹森俊平教授は「今回の危機で、日本社会の弱い部分は、中小企業であり、非正規やフリーランスの労働者であり、そういう弱い部分を何とか接合し、守ることを第一にすべきだ。もう一度、国際活動を再開するにはどうしたらいいか、医療の専門家と相談して、ルール基準をつくっていく事が絶対に必要だ」と述べました。

質疑の中で尾身会長は、緊急事態宣言が継続している8都道府県について「あす、諮問委員会の判断を求められると思うが、知事が早く解除してほしいとか、そういうことではなく、客観的に説明できるようなことが必要だ。われわれは、定量的、定性的な指標を示しており、直近の感染の指標と病院や検査の体制も合わせて、総合的に判断する」と述べました。

一方、緊急事態宣言の再指定を行う際の条件について脇田座長は、感染者の合計が2倍になるまでにかかる「倍加時間」を重視し、判断する考えを示しました。

また、治療薬としての効果が期待されているアビガンについて、尾身会長は「使う場合にはいくつか条件があるのではないか。1つは投与した場合にしっかりモニターすること、副作用の可能性はしっかり説明すること、そして、若い人よりは、50代や60代などに、病気の早期に投与することだ」と述べました。

ワクチンの開発について、脇田座長は「有効性だけではなく、安全性を確認することが重要で、どうしても時間がかかる。年を越えることになるのではないか。その先どの程度で開発が可能になるか、現時点では答えるのは難しい」と述べました。

一方、脇田座長は「新たな生活様式」について「目安のような形で示したが、指摘があれば改定していくことになる。ただ、感染者がゼロの日が1週間続いたから変えていくということではなく感染の状況をしっかりと見ながら検討していく」と述べました。