観光客に外国人の姿なく…

観光客に外国人の姿なく…
外国人観光客に人気の福岡県 太宰府天満宮では参道で名物の梅ヶ枝餅を売る店が一部で営業を再開しました。ただ、外国人の姿はなく、人出が回復する見通しは立っていません。
例年、国内外から1000万人が訪れていた太宰府天満宮。

参道に建ち並ぶ名物の梅ヶ枝餅の店では一部で営業を再開しました。

しかし、観光客の姿はまばらで、外国人の姿は全くありません。

飯塚市から訪れたという女性は「ほんとに少なくてびっくりしています。寂しいですね」と話していました。

太宰府市によりますと、太宰府天満宮を訪れる外国人観光客向けの大型バスは、去年は月に2000台を超えていましたが、ことし3月はわずか5台、先月はゼロでした。

20日から営業を再開したこの店では、感染リスクを避けるため、販売は持ち帰りに限定し、店内での飲食は取りやめました。
梅ヶ枝餅店「かさの家」の不老安正社長は「店を開けないと観光客の皆さんも戻ってこないと思うので、きょうから開けることにしました。早く収束して観光客にお越しいただければいいですが、非常に厳しい状況ですね」と話していました。

観光客が本格的に戻らないなか、このほかの店では営業時間を短縮する店や、20日の営業再開を見送る店もありました。

太宰府観光協会の大薮勝一事務局長は「国内移動ができないと難しい面はあるかと思いますがそれぞれがお店を開けていただいてお出迎えの準備ができればと考えています」と話していました。

観光川下り 約1か月ぶり一部再開も…福岡 柳川

水郷として知られる柳川市では、名物の観光川下りがおよそ1か月ぶりに一部で再開しました。

ただ、乗船客はほとんどなく、特に、例年は半分を占める外国人観光客はゼロで、この先、どれだけ観光客が戻ってくるのか見通せない状況です。

年間およそ40万人が乗船する柳川名物の観光川下りは、緊急事態宣言が出されたあと、市内にある舟会社のほとんどが休業しました。

このうち、創業がもっとも古い「柳川観光開発」は、宣言の解除を受けて、船着き場に消毒液を置いたり、船頭が使うフェイスシールドを取り寄せたりするなど感染防止策をとったうえで、およそ1か月ぶりに今週から再開しました。

ただ、19日は県内から訪れた数人が乗船する程度で、特に例年は乗船客のほぼ半分を占める外国人はゼロでした。

会社では、外国人観光客に対応するため毎日の朝礼で簡単な英会話の勉強を続けていますが、かき入れ時となる春の観光シーズンの売り上げがほとんどなかったうえ、この先、どれだけの観光客が戻ってくるのか見通せない状況です。

船頭の田邊峻也さんは「再開して安どしていますが、感染の第2波が不安です。いまは海外のお客さんは来ていませんが、いいガイドができるようにこれからも英会話の勉強を続けたい」と話していました。

富士山目当ての観光客も激減 山梨 富士河口湖町

外国人観光客の大幅な減少は富士山を目当てに外国人が多く訪れる山梨県富士河口湖町の観光産業にも深刻な打撃を与えています。

富士河口湖町の河口湖周辺では、富士山を目当てに訪れる外国人観光客が多く、地元の観光連盟によりますと、去年の宿泊者のおよそ半数は外国人観光客だったということです。

河口湖の湖畔にあるホテル「四季の宿 富士山」は、客の8割近くが海外からの観光客で、例年、1月から5月はほぼ満室だということですが、ことしは2月から海外の客が減少し、先月は海外の客はわずかで日本人の予約もほとんどキャンセルになったということです。

ホテルでは、先月は予約が入った日だけ営業し、売り上げは去年の同月比で98%の減少と深刻な打撃を受けています。

今月以降もほとんど予約がなく、16人の従業員のうち14人は休みを取ってもらっているということです。

ホテルの山中明子係長は「緊急事態宣言が解除されても予約は数件です。不安ですが、お客をまた迎えられるよう万全の準備をしています」と話していました。

富士河口湖町観光連盟の山下茂代表理事は「外国人観光客はゼロになり、町が廃虚のようになってしまった。しばらくは厳しい状況だが、終息したときに楽しんでもらえるよう準備していきたい」と話していました。

日光 外国人観光客の姿なく閑散

神社仏閣などが外国人に人気の栃木県日光市では、外国人観光客の姿は全く見られず、閑散としています。

外国人観光客の宿泊数が年間およそ12万人の栃木県日光市では、観光客の姿は全くなく、外国人向けのインフォメーションセンターも閉鎖されています。

ふだんであれば、外国人観光客がこぞって記念撮影をする姿が見られる、神橋付近もひっそりとした様子でした。

日光東照宮などの世界遺産の神社や寺の参道に面した土産物屋も、シャッターやカーテンを下ろしたままで、歩く人も見られませんでした。

市内で2軒の旅館を経営する福田金也さん(63)は「宿泊客の9割が外国人で、4月と5月はサクラの時期のため外国人だけで満室になる。3月末から外国人が来なくなって、埋まっていた4月の予約も無くなった。早くて秋ごろに戻ってくれればいいかなと思っている」と話していました。

神橋の近くでレストハウスを経営している日光東飲食物産組合の亀田祐司組合長は「この辺りは日光でも外国人観光客が多い。観光は、普通に生活ができるようになってから行こうかというものなので、すぐに観光業界は元に戻らないと思っている。1年ぐらいかかるかもしれない」と話していました。

農村の民宿にも大きな影響 徳島

新型コロナウイルスの感染拡大で日本を訪れる外国人観光客が急激に減少する中、過疎地の活性化策としてインバウンド需要に期待を寄せていた、徳島県の農村の民宿にも大きな影響が出ています。

徳島県では県西部の山あいを中心に農家が経営し、農村の暮らしを体験できる民宿があり、日本の文化や自然に触れたいという多くの外国人が訪れるようになっていました。

このうち美馬市の横倉集落にある農家の民宿では、去年の宿泊客およそ50組のうち4割近くが外国人でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大で日本を訪れる外国人観光客が激減する中、3月からは休業を余儀なくされています。

感染終息の見通しが立たない中、民宿を経営する中島幸代子さん(72)は、いつでも受け入れを再開できるよう、布団干しや部屋の掃除を行うほか、休業中も毎日、畑に出かけて宿泊客の農作業体験用に栽培している、トマトやエンドウ豆などの手入れを続けています。

横倉集落は高齢化率が5割を超えるいわゆる「限界集落」で、民宿でのインバウンド需要の高まりは、この集落の貴重な活性化策として、地域住民から期待を寄せられているということで、中島さんは「民宿をはじめて3年目で勢いに乗っていたのに残念ですが、早くコロナが終息して多くの人が来るのを待っています」と話していました。