外国人旅行者が激減 事業縮小迫られる旅行会社も 新型コロナ

外国人旅行者が激減 事業縮小迫られる旅行会社も 新型コロナ
日本を訪れる外国人旅行者が激減する中、インバウンド事業を展開してきた都内の旅行会社では、年内の需要の回復は見込めないとして事業縮小など経営方針の転換に迫られています。
主にスペインやイタリアから訪れる外国人に国内の観光ツアーを手配する、東京 新宿区の旅行会社では、外国人の入国拒否の対象がヨーロッパなどにも拡大したことし3月以降、キャンセルが相次いでいて、ほぼすべてのツアーがなくなる見込みです。

この会社では、「観光立国」を目指す政府の方針に合わせて事業拡大を進め、おととしまでの4年間で売り上げを1.5倍近く伸ばしてきましたが、新型コロナウイルスの影響で経営は一転し、資金繰りが急速に悪化しているということです。

日本の事務所の責任者を務める市川靖子ディレクターは、25人の従業員全員を休ませ、雇用調整助成金の申請をしていますが、入金の見通しはまだ立っていないということです。

それでも“コロナ後”の経済回復に備え、会社の資金を取り崩して給料の9割を支払い続けていますが、一向に収束の兆しが見えない中で、需要は当分の間、戻らないと感じ始めています。

これまで観光客を呼び込んできたスペインやイタリアでは、特に感染者が多く、徐々に制限が緩和されているものの、かつてのにぎわいは程遠いのが現状です。

18日、現地事務所とを結んで開かれたテレビ会議では、来年までにワクチンや治療薬が開発されたとしても、しばらくは3割程度の需要にとどまるという見通しを立てることにしました。

そのうえで、スペインにある現地事務所を縮小するとともに、事業の拡大を見越して移転した都内の事務所も家賃など経費を抑えるために、改めて小規模な場所に移す必要性が検討されました。

しかし課題として残るのは、従業員の今後について見通しが立っていないことです。

会社では、引き続き国の支援を求め、解雇せずに経営を続けることにしていますが、会社の存続にも関わることから、従業員には転職も含めて今後の生活を考えるよう伝えざるをえない状況だということです。

市川ディレクターは「収束しても観光、とくに外国人はいちばん最後に戻る分野であり、事業を縮小せざるをえない。仲間である従業員も全員が収束後にこれまでどおり働ける状況ではなく、とても苦しい」と話していました。