全国知事会 経済に深刻な影響 国の支援求める 新型コロナ

全国知事会 経済に深刻な影響 国の支援求める 新型コロナ
緊急事態宣言が39県で解除されてから初めてとなる全国知事会の会合が開かれ、参加した知事からは、地元経済への深刻な影響を訴え、国からの支援を求める声が相次いで出されました。
全国知事会の緊急対策本部の会合は、テレビ会議形式で開かれ、40人余りの知事が参加しました。

この中で、宣言が継続している東京都の小池知事は「生活圏や経済圏を同じくする近隣県と連携を取りながら、ここまで取り組みを進めてきた。きのうも1都3県で情報を共有して、首都圏一体で難局に取り組もうと確認した。都民や県民にも、改めて感染予防の徹底を呼びかけていく」と述べました。

また、大阪府の吉村知事は「『外に出ないでください』と言い続けると社会経済が立ちゆかなくなるので、府民には、『社会経済活動を徐々に再開させることと新しい生活様式を両立させていこう』と呼びかけている」と述べました。

一方、宣言が解除された県からは、山形県の吉村知事が「インバウンドの減少で農林水産物の価格が大幅に下落していて、さくらんぼ農家は、政府の価格安定制度がないので、そのまま収入減になっている」と述べたほか、新潟県の花角知事は「人の動きが抑えられたことで、地方の公共交通機関が相当な打撃を受けており、従来の支援措置を超えた思い切った対応を国でも考えてもらいたい」と述べるなど、地元経済への深刻な影響を訴え、国からの支援を求める声が相次いで出されました。

そして、会合では政府に対し、新型コロナウイルス対策に関する地方自治体への交付金を飛躍的に増額させることや、今後の経済活動の回復に向けた見通しと戦略を早急に示すことなどを求める緊急提言をとりまとめることを確認しました。

東京 小池知事「オールジャパンで取り組む問題だ」

東京都の小池知事は、「このウイルス感染症は、1つの地域の問題だけではなく、連帯する地域全体の問題だ。クラスターも東京に限らず全国で発生しており、オールジャパンで取り組む問題だ」と述べ、緊急提言案の中に盛り込まれている「大都市部への過度な一極集中などに伴うリスク」という文言を削除するよう求めました。

さらに「交付金の増額に向けては、すべての団体が実効性ある対策を講じることができるように、『財政力に伴う補正を行うことなくすべての団体に必要な額を支援する』ことは明示してもらいたい。都道府県民の命や健康と、経済活動を守っていくという両方が必要だが、まずはコロナに打ち勝って、この事態を乗り越えるためにも全国知事会で一致結束して連携を進めていきたい」と述べました。

神奈川 黒岩知事「国は引き続き密を避ける重要性発信を」

神奈川県の黒岩知事は「外出自粛の徹底を継続しているが、解除された地域の様子をみて神奈川も解除されたような雰囲気になり、一時期は人がいなくなった湘南海岸に人が集まってきている。解除後は『自粛』ということばは使いづらくなるが、国には引き続き、密を避けるソーシャルディスタンスを保つことの重要性を強く発信してほしい」と述べました。

さらに「医療崩壊を防ぐため感染者の専用病棟などを整備しているが、県立病院一つを例に見ても数十億という規模の減収が見込まれている。大変な規模の負担であり、交付金の飛躍的な増額を強く強く求めたい」と述べ、財政支援の充実の必要性を訴えていました。

埼玉 大野知事「臨時交付金の大幅増額を」

埼玉県の大野知事は「きのう2か月ぶりに感染者数がゼロとなったが感染者の約2割が東京由来となっていて、首都圏一体となって取り組む必要がある」と述べました。

また、国からの臨時交付金について「埼玉県も交付金を当然使い切っていて、公的企業会計から借り入れを行うなど本当に苦労している。しっかりと交付金を積み上げることで、国民や県民の安心につながるので強く要望したい」と述べ、大幅な増額を求める考えを示しました。

千葉 森田知事「中小企業が疲弊 交付金増額を」

千葉県の森田知事は「千葉県はこの3週間は新規感染者が1桁の状態が続き、ゼロの日も3日あったがまだ厳しい状態だ」と県内の状況を説明したうえで、「中小企業が疲弊しているため助けないといけない。交付金の飛躍的な増額をお願いしたい」と述べました。

また、医療提供体制の整備に活用できる「緊急包括支援交付金」について、「対象事業が限定され、上限額も設定されるなど、活用しづらいところがある」と述べて、国に対して知事会として改善を要望していくことを呼びかけました。