アビガン「有効性判断には時期尚早 臨床研究継続」新型コロナ

アビガン「有効性判断には時期尚早 臨床研究継続」新型コロナ
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新型コロナウイルスの治療薬の候補として期待されている「アビガン」について、国内で行われている臨床研究ではこれまでのところ、有効性については判断できず、さらに臨床研究を進めて検証する必要があることが分かりました。
アビガンは日本の製薬会社が開発した新型インフルエンザの治療薬で、中国政府はことし3月、臨床研究で新型コロナウイルスへの効果が認められたと発表し、日本国内でも有効性や安全性を確かめるための臨床研究や治験が行われています。

このうち、国内での臨床研究は、愛知県にある藤田医科大学など複数の施設に入院している軽症や無症状の患者86人を対象に入院初日から最長で10日間アビガンを投与する人たちと入院6日目以降に投与する人たちに分けて、ウイルスが6日目の時点で減っているかどうか比較するという方法で行われています。

臨床研究は、第三者の委員会が評価することになっていて、関係者によりますと、半分に当たる患者40人余りについての中間段階での解析の結果、「有効性の判断には時期尚早のため、臨床研究を継続すること」とする意見が出されたということです。

中間段階で明らかな効果か安全性への懸念がある場合には研究を中断するよう求める意見が出されますが、この段階では、有効性を評価するにはさらに研究を継続する必要があるという結論になったとしています。

アビガンについて厚生労働省は、今月中に治療薬として承認するため手続きを大幅に短縮して審査を進める方針だとしています。

菅官房長官「有効性確認なら5月中の承認目指す」

菅官房長官は、午前の記者会見で「現在、観察研究、臨床研究、企業による治験が進められていると承知している。企業からの承認申請があればデータに基づき速やかに審査を行い、審議会での専門家の議論を経て有効性・安全性が確認されれば、5月中の承認を目指す考えに変わりはない」と述べました。

加藤厚労相「承認の体制は整えている」

加藤厚生労働大臣は、衆議院厚生労働委員会で「安全性・有効性が確認されれば、今月中にも承認できるよう、政府として体制は整えている。安全性・有効性の確認は、観察研究や臨床研究、あるいは企業による治験の結果を待つということだ」と述べました。

有識者会議 副座長「真摯に待つべき」

日本医師会の有識者会議の副座長を務める早稲田大学の笠貫宏特命教授は、記者会見で「科学的な根拠に基づく有効性や安全性の確認が、いつ行われるのかは、今の時点では分からない。現在進行中の観察研究や治験の結果を真摯(しんし)に待たなければならない」と述べました。

有識者会議では、新型コロナウイルスの治療薬の候補について、拙速に特例的な承認を行うのではなく、臨床試験などを通じて安全性に注意して投与すべきだとする緊急の提言を出しています。