新型コロナウイルス調査要求の豪産大麦に中国 関税上乗せ措置

新型コロナウイルス調査要求の豪産大麦に中国 関税上乗せ措置
新型コロナウイルスについてオーストラリアが、ウイルスの発生源などに関する独立した調査が必要だと主張する中、中国政府は、オーストラリア産の大麦が不当に安く輸入されているとして、19日から関税を上乗せする措置を始めました。
新型コロナウイルスをめぐってオーストラリアのモリソン首相は先月下旬、発生源や感染が拡大した背景を調べるため独立した調査が必要だという考えを示し、中国側が反発しています。

こうした中、中国商務省はオーストラリア産の大麦が不当に安く輸入され、自国の生産者が損害を受けているとして、19日から5年間「反ダンピング関税」など、80.5%の関税を上乗せする措置を始めました。

これについて中国外務省の趙立堅報道官は19日の記者会見で「関連する法律や、WTO=世界貿易機関のルールに基づいて調査を行ったうえで、最終的な決定を行った」と述べ、新型コロナウイルスをめぐる問題とは関係なく、公正な判断に基づく措置だと強調しました。

その一方で、趙報道官は「新型コロナウイルスを政治的に操作するのは強く反対する」と述べ、オーストラリアの対応に改めて反発しました。

中国は今月、輸入した牛肉の検疫で違反が見つかったとして、オーストラリアの企業4社からの肉製品の輸入を停止していて、新型コロナウイルスをめぐるオーストラリアの対応に反発した措置ではないかという見方も出ています。

豪 WTOを通じた解決も視野に

中国がオーストラリア産の大麦が不当に安く輸入されているとして関税を上乗せする措置を始めたことについて、オーストラリアのリトルプラウド農相は「控えめに言って失望している。中国の決定に対して冷静かつ系統的に対処し、WTO=世界貿易機関にはかる権利は残しておく」と述べ、WTOを通じた解決も視野に対応を検討していく考えを明らかにしています。

また、オーストラリア政府が新型コロナウイルスの発生源や感染が拡大した背景を調べるため独立した調査が必要だという考えを示してきたことと、今回の中国の措置との関連性については、「危険な臆測だ」として否定的な見方を示しています。