太宰ゆかりの旅館 コロナ影響で廃業 文化財の建物は取り壊しへ

太宰ゆかりの旅館 コロナ影響で廃業 文化財の建物は取り壊しへ
大正10年に創業し、作家の太宰治も利用したと伝えられる千葉県船橋市の旅館が新型コロナウイルスの影響などで廃業し、登録有形文化財の建物が取り壊されることになりました。
廃業を決めたのは、船橋市の中心部にあり、大正10年に料亭として営業を始めたという「玉川旅館」です。

旅館には昭和16年に建てられたという「本館」、昭和3年に建てられ23年に増築されたという「第一別館」、それに昭和8年に建てられたという「第二別館」があり、それぞれ国の登録有形文化財になっています。

旅館によりますと、このうち第二別館にある「桔梗の間」は近くに住んでいた作家の太宰治が利用したと伝えられ、国内外から多くのファンが泊まりに訪れたということです。

しかし維持管理費がかさむなか、新型コロナウイルスの影響で宴会のキャンセルが相次ぐなどしたことから、先月末をもって廃業し、来月から建物が取り壊されることになりました。

おかみの長野與子さん(73)は「新型コロナウイルスのために考える時間ができ、廃業のふんぎりもついてしまった。もんもんとしたりほっとしたり、思いは交錯していますが、これまで利用してもらったことについては感謝の気持ちがいっぱいです」と話していました。