タイ国際航空が事実上の経営破たん 新型コロナウイルスの影響

タイ国際航空が事実上の経営破たん 新型コロナウイルスの影響
タイ政府は経営が一段と悪化していたタイ国際航空について、会社更生の手続きに入ることを決めました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、事実上、経営破たんし、裁判所の監督のもと経営再建を進めることになりました。
タイを代表する航空会社のタイ国際航空は、格安航空会社との競争が激しくなったことなどから、3年連続で最終赤字だったうえ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で国際線の運航ができなくなり、経営が一段と悪化していました。

このためタイ国際航空は当初、51%の株式を保有するタイ政府に対して、資金支援を求め、従業員の大幅な削減など経営再建計画の取りまとめを条件に、日本円でおよそ1800億円の公的支援を受ける見通しでした。

しかし計画の策定が遅れていたことから、タイ政府は方針を転換し、19日開かれた閣議で、タイ国際航空について、会社更生の手続きに入ることを決め、タイ国際航空は、事実上、経営破たんしました。

今後は裁判所の監督のもと、経営再建を進めることになり、タイ国際航空はこれまでどおり事業は継続するとしています。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、世界の航空各社は軒並み苦境に陥っていて、先月にはオーストラリアの航空大手ヴァージン・オーストラリアが事実上、経営破たんしています。

裁判所の監督のもと経営再建進める考えを強調

タイ国際航空が会社更生の手続きに入ることが決まったことを受けて、タイ運輸省は記者会見を開きました。

それによりますと、タイ国際航空の負債は、昨年末の時点で2400億バーツ余り、日本円にして、およそ8000億円にのぼり、ことしに入って、さらに膨らんでいるということです。

また、経営再建にあたっては、政府の株式の保有比率を50%以下に引き下げて、国の関与を薄めることで、経営に適した人材の登用を進めるとともに、国営企業として行われてきた、従業員に対する手厚い待遇の見直しも検討するとしています。

記者会見でサクサヤーム運輸相は、「新型コロナウイルスの感染拡大は、タイ国際航空の経営に大きなインパクトを与えた」と述べたうえ、「経営再建に向けた方策を探るためにもタイ国際航空は、経営の問題点を明らかにすべき時に来ている」などとして、裁判所の監督のもと、経営再建を進める考えを強調しました。