ソフトバンクグループ 1兆3646億円の赤字 過去最大

ソフトバンクグループ 1兆3646億円の赤字 過去最大
k10012434711_202005181937_202005181938.mp4
ソフトバンクグループは、ことし3月期の決算を発表し、営業損益は、2兆円を超える黒字だった前の年から一転し、1兆3600億円余りの巨額の赤字になりました。新型コロナウイルスの感染拡大を背景にした金融市場の動揺で投資先の企業の価値が下がったためで、赤字幅は過去最大です。
ソフトバンクグループは18日、グループ全体のことし3月期の決算を発表しました。

それによりますと、営業損益は2兆円を超える黒字だった前の年から一転し、1兆3646億円の巨額の赤字になりました。

また、最終的な損益も1兆4000億円余りの黒字から、一転して9615億円の赤字になりました。

年間の決算で営業赤字、最終赤字となるのはいずれも15年ぶりで、赤字幅は過去最大です。

業績の悪化は、投資先のアメリカのシェアオフィス大手、ウィーワークの経営悪化による損失を計上したことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大を背景にした金融市場の動揺で、ほかの投資先についても企業価値が下がったことが主な原因です。

巨額の赤字に陥ったことを踏まえソフトバンクグループは、ことし3月、最大で4兆5000億円分の資産を向こう1年かけて売却し、負債の削減などに充てる方針を示していて、計画どおりに財務の改善を進められるかが問われています。

これについて会社は18日、保有する中国のネット通販最大手、アリババグループの株式を活用して1兆2500億円の資金を調達したことを明らかにしました。

孫社長「コロナ危機は世界大恐慌と同じような影響」

ソフトバンクグループの孫正義社長は18日、オンラインで行った記者会見で、ことし3月期の決算で巨額の赤字に転落したことについて、「今回のコロナ危機は、1920年代の世界大恐慌と同じような影響を与える出来事ではないか。そうした背景の中でファンド事業が大きなマイナスということで経営の足を引っ張った」と述べました。

また、ファンドを通じて投資している世界各地の88の企業について、「15社くらいは倒産するのではないかと思っているが、15社くらいは大きく成功するだろう」と、過去の経験に基づいた見立てを示しました。

そのうえで、今後の投資の方針については、「継続はするが、大上段に構えてがんがん行く状況ではない。用心しながら投資する」と述べました。

そして、保有する株式の価値は18日現在で、28兆5000億円に上るとして、「減ったのは事実だが、ITバブル崩壊のときなどのような真っ逆さまのどん底に比べると、そこまでの大ショックではない。崖から転げ落ちそうだった過去と比べると、余裕で崖をのぞき込んでいるような状況だ」と述べ、経営に問題はないという考えを示しました。

上場企業で最大の四半期赤字

証券会社のまとめによりますと、ソフトバンクグループのことし1月から3月までの3か月間の決算は、最終的な損益が1兆4300億円余りの巨額の赤字になりました。

これは東日本大震災が起きた際に、当時の東京電力が計上した1兆3800億円余りの赤字を上回り、すべての上場企業の3か月間の決算で、過去最大の赤字になったということです。

巨額の赤字 その要因は

ソフトバンクグループは投資会社としての性格を強めていて、今回は、その投資先の企業の株価下落や経営悪化で巨額の赤字を出すことになりました。

このうち、アメリカのライドシェア大手、ウーバーは去年5月に株式を上場したときの時価総額が日本円にしておよそ7兆4500億円でしたが、株価の大幅な下落で、ことし3月末の時点ではおよそ5兆1600億円にまで減少しました。

また、アメリカのシェアオフィス大手、ウィーワークは去年1月の時点では企業価値が5兆円を超えていましたが、その後の経営悪化を受けて、ことし3月末時点では、10分の1以下となるおよそ3100億円にまで減少しています。

一方、ソフトバンクグループは18日現在で、合わせて28兆5000億円分の株式を保有しています。

このうち、最も大きいのは中国のネット通販最大手のアリババグループの株式で14兆7000億円、次いで国内の携帯電話事業を手がける子会社のソフトバンクが4兆5000億円、そしてアメリカの携帯大手、Tモバイルの3兆2000億円などとなっています。

このほか、世界のスタートアップ企業などに投資するファンドを通じて、合わせて2兆6000億円分の株も保有しています。

会社は、業績の悪化を受けて、最大で4兆5000億円分の資産を売却して、負債の削減など財務の改善に充てる方針を示していて、計画どおりに財務の改善を進められるかが問われています。