「コロナ鬱」防ぐには? 障害者がみずからの体験を紹介

「コロナ鬱」防ぐには? 障害者がみずからの体験を紹介
新型コロナウイルスに伴う外出自粛の長期化で精神的に落ち込むいわゆる「コロナ鬱」を防ごうと、障害がある人たちが互いに悩みなどを語り合う会がオンラインで開かれました。
この会は、脳梗塞や脳出血を患い体にまひがある人の当事者団体「未来へつなぐ会」が企画して16日に開かれ、みずからも障害がありカウンセリング技術を持つ世話人の土井畑京子さんや大阪、滋賀、長崎の30代から60代の男女、合わせて8人が参加しました。

会では、参加者が1人ずつ順番に外出自粛による生活の変化について話しました。

この中で、2人の女性が相次いで、リハビリに通えなくなったため体の調子が悪くなり精神的に落ち込んだと話すと、土井畑さんは、自分も同じ思いをしたが掃除をする時にリハビリの動作を取り入れる工夫をしたら気持ちが上向いたと、みずからの体験談を紹介しました。

また、体のつらさを家族に理解してもらえず口論が増えたとか、自宅の近所の坂道を歩いていたらこれまでよりもうまく歩けるようになったなどと話す人もいて、参加者は時折笑ったり涙ぐんだりしながらほかの人たちの話に耳を傾けていました。

参加した50代の女性は「仲間と語り合えることがうれしくて、涙が出ました。落ち込んでいた気持ちを理解してもらえたし、みんなも頑張っているんだと分かって元気をもらえました」と話していました。

世話人の土井畑さんは「同じ障害がある人どうしだからこそ分かり合えることがある。全国の仲間とつながり、外出自粛によるしんどさを一緒に乗り越えていきたい」と話していました。

この会は、当面の間、1週間から2週間に1回程度、オンラインで開かれる予定です。

外出自粛でふさぎ込む障害者も

会に参加した大阪市の橘佳奈枝さん(59)は、5年前に脳梗塞を患って左足にまひが残り、週5日リハビリに通っていました。

しかし、新型コロナウイルスの影響でリハビリ施設が休業するなどしたため、ほとんどの時間を自宅で過ごしています。

1人でリハビリに取り組もうとしても専門のスタッフのサポートを受けられないためうまくいかず、自分のやり方が正しいのか不安になると言います。

以前は、同じ病気を患った仲間たちと月に2、3回集まって語り合い互いに励まし合っていましたが、そうした場も持てなくなりました。

同居している家族といえども、体のつらさや手助けしてほしいことはなかなか伝わらず、気持ちがふさぎ込んで眠れない日々が続いたということです。

橘さんは「体が自由に動かず家族に助けを求めても、『なぜできないの』と言われてしまったりして、どうして分かってくれないのかとすごくいらだってしまいます。同じ病気を経験した仲間どうしだからこそ分かりあえる部分がたくさんあるので、みんなとしばらく会えずにいることが悔しいです。またみんなで笑ったり泣いたりしたいと心から思います」と話していました。