演劇事業の継続 主催団体など約4割が「困難」か「大幅縮小」

演劇事業の継続 主催団体など約4割が「困難」か「大幅縮小」
新型コロナウイルスの影響で公演の中止や延期が相次ぐ演劇界で、主催団体の損害などについてのアンケート調査が行われ、支援策を利用した事業の継続について、およそ4割が困難か大幅な縮小は避けられないと答えました。
演劇界では東宝や劇団四季などの39の団体が「緊急事態舞台芸術ネットワーク」を立ち上げ、先月から今月にかけて、参加団体を対象にアンケート調査を行ったところ、公演主催団体の16社と音響や道具製作などを担う6社の合わせて22社から回答がありました。

この中で公演の中止や延期にともなう損失額を尋ねたところ、1億円以上5億円未満と回答したのが8社と最も多く、次いで10億円以上30億円未満が3社、30億円以上と5億円以上10億円未満、1億円未満がそれぞれ2社ありました。

また、現状の支援策を利用して事業が継続できる可能性について聞いたところ、10社が「可能」と回答した一方で、およそ4割にあたる9社が困難、または大幅な縮小は避けられないと答えました。

自由記述欄には「すべて借り入れで賄うので体力が続かない可能性も否定できず不安だ」とか「収入ゼロで支援策利用しても1ステージで数千万円以上の負債、理不尽すぎます」などの悲痛な声も寄せられています。

緊急事態舞台芸術ネットワークは「短期間で極めて高額の損失が生じている」として、ガイドラインの作成など再開に向けた取り組みを進めることにしています。

クラウドファンディングで支援も

厳しい状況に置かれている舞台芸術に携わる人たちを支援しようと、インターネット上で資金を募るクラウドファンディングの動きが広がっています。

このうち「#SaveArtsプロジェクト」は、演劇や歌劇・音楽劇に携わる人たちを支援するクラウドファンディングです。

1000万円を目標に、今月29日まで支援金を受け付けていて、協力している劇作家の平田オリザさんは「どこまでの手助けになるか分かりませんが、その分、緊急性をモットーに機敏に動ければと考えています」などとコメントしています。

また、演劇に携わる人たちが立ち上げた「小劇場エイド基金」は、全国の50余りの小劇場を支援するクラウドファンディングで、4000万円を目標金額にしています。

俳優の八嶋智人さんや篠井英介さんらが賛同人に名前を連ね、来月5日まで支援金を受け付けています。

日本芸能実演家団体協議会は「多くの方の支援に感謝するとともに、こうした動きがより力強いものとして広がっていくことを願ってやみません」と話しています。