柔道 東京五輪代表の13階級の内定選手に変更なし

柔道 東京五輪代表の13階級の内定選手に変更なし
新型コロナウイルスの感染拡大のため1年延期された東京オリンピックの代表選考について、全日本柔道連盟は、15日開かれた常務理事会で、すでに代表に内定している13階級の選手を変更しないことを決めました。
東京オリンピックの柔道では、個人の14階級のうちことし2月までに13階級で代表内定選手が決まっていて、その後、オリンピックの1年延期が決まったことを受けて、内定を維持するのか、それとも再び選考を行うのかが注目されていました。

全柔連は15日、オンラインで強化委員会と常務理事会を開いて議論した結果、大会開催のめどがたたない現状では新たな選考はできないとして、すでに代表に内定している選手を変更しないことを全会一致で決めました。

一方、丸山城志郎選手と阿部一二三選手が激しく代表を争ってきた男子66キロ級については、ことし4月から延期となっている全日本選抜体重別選手権の開催を、ことし秋までに目指したうえで、開催が困難な場合は2人の選手による個別の選考試合を行う方針を決めました。

また、ことし9月末で2期8年の任期が満了となる男子の井上康生監督については、来年9月末まで任期を延長することも決定しました。

全柔連の中里壮也専務理事は「オリンピックの延期が決まった当初は再選考をするべきという意見もあったが、国際柔道連盟から大会日程の連絡がない今の状況では、再選考はできない。これまで十分な過程をへて選考された選手たちで臨むことがメダル獲得への近道だ」と理由を説明しました。

全柔連は、このあと書面による持ち回りの理事会で、内定選手を維持することを正式に決議する予定です。

内定の扱いをめぐる経緯と背景

複数の金メダル獲得を期待される日本のお家芸、柔道の代表選手の内定の扱いをめぐる議論は、東京オリンピックの1年延期の決定から1か月余りで、ようやく内定を維持することが決まりました。

東京オリンピックの延期が決まったのは3月下旬。卓球や陸上のマラソンなどすでに内定選手が決まっていた複数の競技が、次々と代表内定維持の方針を示す中で全日本柔道連盟は、慎重に議論する姿勢を崩しませんでした。

オリンピック延期が決まった翌日、日本代表男子の井上康生監督は「長い時間をかける訳にはいかないが、しっかり議論して決めることが選手と柔道界のためになる」と内定選手を思いやりながら話しました。

一方で、選手の一部からは「選考のやり直しは不公平だ」とか、「選考よりオリンピックで勝つことに集中したい」といった本音も聞かれました。

全柔連の慎重な姿勢の背景にあったのは、複数の金メダル獲得を至上命題としている日本柔道ならではの選考基準でした。

選考基準を示した強化システムの内規では、第1条に「世界で金メダルをねらえる選手を育成・強化し選考する」とあり、全柔連はこの大前提を踏まえて、国内での成績以上に国際大会の成績、特にオリンピックの前年の世界選手権を重視していて、ことし2月までに個人の14階級のうち13階級について、代表内定選手を決めました。

しかし、ことし開催されるずだったオリンピックで金メダルをねらえるとして代表内定を得た選手が、果たして1年後の大会でも日本代表にふさわしいと言えるのかが議論となりました。

先月行われた日本代表の首脳陣の話し合いでは「内定を維持するべき」との意見が大勢を占めた一方、強化委員会の関係者からは「現在の内定選手にアドバンテージを与えたうえで、来年までの国際大会の成績を考慮して再選考すべき」との意見も出ていました。

こうした中、全柔連の事務局で新型コロナウイルスの集団感染が発生したこともあり、先月開かれる予定だった常務理事会は、およそ1か月先送りされました。

この間、全柔連は、IJF=国際柔道連盟の方針も注視してきましたが感染拡大は収まらず、国際大会は少なくとも6月末までの中止が決まりました。

最終的には、代表選考にあたって最も重視してきた国際大会の再開のめどがたたない現状では、新たな代表選考が難しいことを理由に代表選手の内定を維持することが決まりました。

ウルフアロン選手「大きな心境の変化はない」

男子100キロ級で東京オリンピックの代表に内定していたウルフアロン選手は「どう転んでも戦える準備はしていたので、大きな心境の変化はありません」と所属先を通じてコメントしました。

金野強化委員長「選手の競技の場の確保に心血を注ぎたい」

全日本柔道連盟の金野潤強化委員長は、代表内定選手を変更しないことについて「現場の監督、コーチの意見が今の内定選手で戦う自信をしっかり持っているということで、それがいちばん大きな決め手だったと思う」と説明しました。

そのうえで、内定選手が稽古ができない状況が続いている現状を踏まえ「練習環境をなくして1か月以上がたつので、まずはその環境を改善できるようにやっていきたい。社会情勢には逆行できないので無理のない範囲で選手の競技の場を確保できるように心血を注いでいきたい。今まで選手もわれわれも経験のないところだが、選手と密に連携を取ってやっていきたい」と話していました。