新型コロナ みんながみんな、がんばっている

新型コロナ みんながみんな、がんばっている
「医療従事者に感謝の拍手を」
「#LightItBlue(ブルーのライトアップを)」

今、感染症対策の最前線にいる医療従事者に感謝と敬意を伝えようと一斉に拍手を送ったり、建物をライトアップしたりする動きが広がっています。しかし医療従事者だけではありません。私たちの生活の維持に欠かせない仕事が数多くあり、感染のリスクを抱えながらも毎日働く人がたくさんいます。そしてみんながみんな、がんばっています。(ネットワーク報道部記者 松井晋太郎 斉藤直哉 國仲真一郎)

感謝のツイート2億5000万

外出の自粛が続く中でも、生活を支えるために働いている人たち。

医療従事者など、こうした人たちは「エッセンシャル・ワーカー」と呼ばれ、行政やボランティア、また著名な人たちが感謝の気持ちを表明したり支援を呼びかけています。

SNSでもエッセンシャルワーカーへの感謝の投稿が相次いでいて、ツイッターの日本法人は今月13日、「世界中で3月15日以降、2億5千万を超える敬意や、感謝の気持ちを表すツイートが投稿されています(2月から26%増加した数値になります)」と投稿し、エッセンシャルワーカーを含めすべての人に向けて、感謝の気持ちが伝えられていたと分析しています。

一方で、現場で働く人たちからは感染のリスクや偏見への不安を抱えながら、働いているという声が医療従事者以外からもSNS上で相次いでいます。
また36歳の介護士の女性は「介護施設のことってニュースであまり取り上げられないけど#リモートワークも出来ないし休めないしでリスク背負って一生懸命やってます」と投稿しました。
24時間、昼夜交代で勤務にあたっていて、施設の消毒や防護服の着用など業務が増え、人手不足も深刻になっているそうです。
介護士の女性
「社会に不可欠な仕事と認知されるのはうれしい。ただ熱を出す方もいて。リスクもある中、がんばって働いている現状も知って欲しかったんです」

スーパーで働く人、清掃を請け負う人

こうしたさまざまな声を受け、生活を維持するために、働く人たちの心のケアを自治体でも打ち出しています。

このうち埼玉県では今月11日に「エッセンシャルワーカーのためのこころの相談窓口」を設置し、臨床心理士などが電話相談に応じています。
担当者に話を聞くと新型コロナウイルスにまつわる心の悩みの相談は、ことし2月から広く受け付けていました。しかし時間がたつごとに、スーパーの店員や清掃員、介護施設で働く人などからの相談が増えてきたそうです。
埼玉県立精神保健福祉センターの担当者
「みんな社会的な責任や使命感を持って働いています。だからこそ口に出せない不安やストレスを感じていたのではないでしょうか」「こうした人たちが燃え尽きてはいけないと思い専用の窓口を設けました」
相談の中には他人との距離を保つのが難しかったり、消毒用の備品が切れてしまったりする中で必死に働いていること、またいつか感染してしまうという不安やストレスがあると訴えていたということです。
担当者
「家族以外の友人などと話したりして心の英気を養うことがいまは難しくなっていて心の病気のリスクが高くなっています。顔が緊張していたり落ち着かなかったりといった様子に気付いたら職場でも声をかけあい気軽に相談してほしいです」

感謝をマンガに

新型コロナウイルスにほんろうされる生活の中で、自分を支えてくれるさまざまな仕事の人たちへの感謝をマンガにして、ブログで紹介している人を見つけました。

イラストレーターのなとみみわさんです。なとみさんが「スーパーに行く」と題して掲載したマンガです。
スーパーでソーシャルディスタンスをとりながら買い物したなとみさん。レジで感染を防ぐシートの前に立つ店員に目を止めます。
そして「私ができる事といえば…さっと買い物を済ませて、さっと帰る」と書いたあと、感謝の気持ちを伝えます。
このマンガのあとに、なとみさんはこうつづっていました。
「医療従事者の方、配送業の方、電車やバス、電気、ガス、水道、コンビニ、ごみ収集…数え上げたらキリがない!!私たちの生活を根っこから支えてくださっている皆様には本当に感謝しかありません」
なとみさんはほかにも荷物の配達員の人などとのやり取りも描いていて、何気ない励ましのことばをかけてもらったシーンも登場します。
なとみみわさん
「家で1人で仕事をしていると暗いニュースやさみしさで心が悪くなっていくけどスーパーの店員さんのおじぎや配達員さんのことばに涙が出そうになりました」
「日々の生活を支えてくれる人の気持ちを忘れてはいけない、誰も悪くなくてそれぞれの人がそれぞれの立場で頑張って戦っています。こういう時だからこそ周りの人への思いやりが必要だと思っています」

バンクシーも

感謝の気持ちを伝える動き。そうした視点でも注目された芸術作品があります。

イギリス南部サウサンプトンにある病院で今月6日に公開された、覆面のアーティスト「バンクシー」が描いた新たな作品です。
かごに入れられたバットマンやスパイダーマンといった往年のスーパーヒーローたちには見向きもせず、マスク姿で胸に赤い十字架が記された看護師の人形で遊ぶ男の子が描かれています。

「新型コロナの治療にあたる医療関係者をたたえるものだ」として相次いでメディアに取り上げられました。
また、この作品に込められた意味はそれだけではないと感じている人もいるようです。ネット上に投稿されたその一部を見ると…。
「医療者という新しいおもちゃを手に入れたけど、飽きたらカゴに入ってるヒーロー達と同じ運命を辿るよって、めちゃくちゃ皮肉なのでは?」
「『必要な時だけ医療従事者を(他のヒーローのように)持ち上げて、都合よく使い倒す』世間一般の人に対する強烈な皮肉なんじゃないの??」
残念ながら、バンクシー本人に直接この作品に込めた意図を聞くことはできませんが、「NHS(イギリス国営の国民医療サービス)スタッフの皆さんがしてくれているすべてのことに感謝します。作品は白黒ですが、少しでも病院に彩りを添えられたらうれしいです」などと医療従事者への感謝のことばをつづったメモも添えられていたということです。

しかし、するどい社会風刺を作品に込めてきたバンクシーだけに、みな、さまざまな解釈をしているようです。

みんながみんな、がんばっている

新型コロナウイルスの感染拡大が広がる中、さまざまな現場で多くの人たちが、感染の可能性と隣合わせでがんばっています。

自分のために見知らぬ誰かのために、がんばっている人がいることを、今はひしひしと感じられる状況です。

そうした多くの人への敬意を、忘れてしまってはいけないこと、こうした時だからこそ立ち止まって自分を支えている多くの人たちに気付くこと、それがひょっとしたら、今、学びうることなのかもしれないと私たちは思っています。