食中毒に注意を コロナで宅配など始めた飲食店に呼びかけ

食中毒に注意を コロナで宅配など始めた飲食店に呼びかけ
気温や湿度が上がって食中毒が起こりやすい季節になってきました。外出自粛や時短営業が続く中、テイクアウトや宅配を新たに始めた飲食店に対し東京都などは、店内で食事を提供する以上に衛生管理に注意するよう呼びかけています。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けてテイクアウトや宅配を始める飲食店が増えていますが、店内で食事を提供する場合より客が食べるまでの時間が長くなることから、ふだん以上の衛生管理が必要だとして、東京都は今月に入って「テイクアウトや宅配を始める飲食店の皆さんへ」と題して衛生管理の情報をホームページに掲載し注意を呼びかけています。

具体的には、
▽調理した食品は、長時間常温で放置せず、適切な温度で保管・運搬することや
▽中心部までよく加熱すること、
▽生肉や生卵、刺身などのなま物の提供は避けること、
▽また、利用客にはすぐに食品を食べるよう伝えることなどを求めています。

一方、農林水産省は11日、ツイッターの公式アカウントで消費者向けの注意点を紹介し、
▽長時間持ち歩かないようにし、
▽自宅に持ち帰ったら早めに食べるよう呼びかけています。

やむをえず時間をおいて食べる場合は、食品を速く冷やすことができるよう浅い容器に小分けにして、冷蔵庫で保存してほしいとしています。

東京都や農林水産省は「気温が高くなる中で食品を常温で放置すると食中毒のリスクが高まるので衛生管理や早めに食品を食べることを心がけてほしい」と話しています。

「STOP食中毒キャンペーン」

通常営業が難しい中、新たにテイクアウトなどを始めた飲食店に、食中毒予防について正しく理解してもらおうと、ボランティアによる「STOP食中毒キャンペーン」という活動も始まっています。

キャンペーンを立ち上げたのは、東京 渋谷区で業務用食材販売を手がける浅井裕子さんです。

浅井さんは、新たにテイクアウトを始めた店のSNSなどで、温かいごはんと冷たい刺身など食中毒の危険性の高い弁当の写真を見かけ、持ち帰りならではの衛生管理の知識を広めたいと知人たちとキャンペーンを立ち上げました。

店内で食事を提供する場合と異なり、
▽常温、特に日の当たる場所におかないことや
▽温かいままで販売しないこと、
▽刺身、半生の卵料理は入れないこと、
▽生の野菜や果物は消毒し、ほかの食材と分けて詰めることなど具体的に注意すべき8項目をまとめてチラシを作りました。

これまでに茨城県つくば市や、東京 港区の飲食店グループなどが活用していて、現在はチラシのデータをホームページから無償でダウンロードできるようにしています。

浅井さんは「飲食店業の多くのかたは店内で提供するノウハウは持っていますが、持ち帰る弁当のノウハウとは違うので説明しようと立ち上げました。食中毒が出ると新型コロナウイルスの感染対応で忙しい保健所の負担も増やしてしまうので気をつけてもらいたいです」と話していました。

弁当はケーキ用のショーケースで冷蔵

チラシを活用して弁当を販売しているところもあります。

東京 六本木の臨時の弁当販売所は、休業や時間短縮営業を余儀なくされている港区内の飲食店の弁当10種類前後を扱っています。

洋菓子店からスペースを提供してもらい国内外で和食料理店を経営するオーナーシェフ、山下春幸さんが先月上旬から始め、参加する飲食店が増えています。

チラシを店内に貼りだしているほか、弁当を作っている飲食店にも配って衛生管理の徹底を呼びかけています。また、賞味期限を表示するようアドバイスしています。

さらに今月に入って気温や湿度が高くなってきたことから、弁当はケーキ用のショーケースで冷蔵し、客にはメニューや写真で品物を選んでもらっています。

昼の時間になると、近くにあるオフィスなどから会社員たちが買い求めに来ていました。

60代の女性は「レストランにはなかなか食べに行けないのでお弁当で手軽に味わえてうれしいです」と話していました。

山下さんは「飲食店によって弁当の販売が慣れている人と慣れていない人がいるので、ルールを作って徹底しています。新型コロナウイルスと食中毒の対策がいちばん大切なので引き続き気を引き締めていきたいです」と話しています。