オンライン授業って、憲法とどんな関係があるの?

オンライン授業って、憲法とどんな関係があるの?
長引く休校で注目される小中学校のオンライン授業。実は憲法と深い関係があるんです。大学入試センター試験の過去問題を解きながら考えてみましょう。

休校長期化で注目されるオンライン授業

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、現金10万円の一律給付などの経済対策を盛り込んだ補正予算が、4月末に成立しました。この中では、家庭学習の環境を整えようと、小中学生への1人1台のパソコンやタブレットの配備を前倒しして行うための費用も盛り込まれました。

休校の長期化で、パソコンなどを使った「オンライン授業」が注目されていますが、インターネット環境が整った家庭ばかりではありません。どうやって格差をなくすのか、憲法で定められた「教育を受ける権利」を保障することが課題になっているんです。

大学入試センター試験の問題に挑戦!

今回は、教育と憲法の関係について、大学入試センター試験で出題された問題で考えていきましょう。
問題。
「日本国憲法の下での教育や学問をめぐる権利や義務についての記述として最も適当なものを、次の(1)~(4)のうちから1つ選べ」。
(1)憲法が保障する教育を受ける権利の基礎には、人が学習し成長する学習権の理念があるとされている。
(2)憲法上、国民がその子どもに普通教育を受けさせる義務はない。
(3)憲法が保障する学問の自由には、大学の自治は含まれない。
(4)憲法上、国が小中学校での教育とともに高校での教育を無償で提供することとされている。
なかなか難しい問題ですが、じっくり取り組めば解けるかもしれませんよ。
まず(1)の選択肢。
「学習権」ということば。聞き慣れない人が多いかもしれません。「学習権」というのは、自分の成長のために学習をする権利のこと。

「学習権」の理念が教育を受ける権利の基礎になっている?

そうなのかもしれないけど、そんなことは習ったことがない…という方も、ここでくじけず、問題を読み進めていきましょう。

次に選択肢の(2)「憲法上、国民がその子どもに普通教育を受けさせる義務はない」。
いやいや、子どもに普通教育を受けさせる義務はありそうですよね。
憲法26条を見てみましょう。
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
2センテンス目に「義務を負ふ」とされていますね。ちなみに、憲法に定められた国民の三大義務は、「教育」「勤労」「納税」の3つ。「義務教育」というのは、保護者が子どもに学校で学ぶ機会を作らなければならないということです。

さらに進めて、選択肢の(3)「憲法が保障する学問の自由には、大学の自治は含まれない」。
これも間違い。学問の自由に大学の自治の保障も含まれます。たとえ国家権力にとって都合の悪い学説でも自由に論じたり、発表したりする権利が保護されています。

最後の選択肢(4)「憲法上、国が小中学校での教育とともに高校での教育を無償で提供することとされている」。
義務教育ではない高校は、もともと無償ではありません。ただ、4月から所得の低い世帯を対象にした高等教育の無償化が始まったというニュースもありましたよね。

ということで、答えは選択肢の(1)「憲法が保障する教育を受ける権利の基礎には、人が学習し成長する学習権の理念があるとされている」になります。

生活にかかわる憲法

そもそも教育と憲法の関係を学生のうちに学んでおく意味はどこにあるのでしょうか。ミガケ取材班は、大手通信教育会社で社会科の時事問題を担当する守屋賢さんに話を伺いました。
ベネッセコーポレーション 守屋賢さん
「法律が国民に対してのルールである一方で、憲法は国に対してのルールという性格を持っています。すべての法律や政策、司法判断などは憲法に違反していないことが求められます。一見憲法に関係ないと思われる内容でも、実は憲法で規定されている権利が深く関わっている。私たちの生活に憲法がどのように関わっているのかを考えてみることは大切なことなんです」
選挙(1票の格差)や改憲手続きなどの問題は、入試でよく問われるそうです。

憲法と新型コロナウイルス

では、今の生活に照らして考えてみましょう。
ひとしく「教育を受ける権利」があるのなら、休校中の学習支援の取り組みも平等でなければならないですよね。ところが、取り組みには自治体ごとに大きな差があるんです。4月に文部科学省が全国の自治体を通じて行った調査では、「教育委員会などが作成した動画で学習支援している」ところは10%。「パソコンなどの端末を使って対面でのオンライン指導に取り組んでいる」ところはわずか5%にとどまっていました。
ベネッセコーポレーション 守屋賢さん
「教育の機会に格差があるのであれば、国はそれを是正できるような取り組みをする必要があります。憲法で、国民はひとしく教育を受ける権利を有するとされているからです。こうしたニュースを見て、ちょっと疑問に思ったらそこから好奇心を持って突き詰めてみる。それが学ぶことの意義でもあり、ひいては自分の生活を豊かにしていくことができると思います」
緊急事態宣言が延長され、子どもの学習機会を確保することは、ますます重要になってきます。自治体や家庭によっても学習面の格差がある中で、オンライン授業の普及で、教室に集まるこれまでの授業形式が変わっていくかもしれません。

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、教育、そして社会はどうあるべきなのか考える機会にしてみては?
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