“拙速な経済活動再開は死者増やす” 米政権専門家 新型コロナ

“拙速な経済活動再開は死者増やす” 米政権専門家 新型コロナ
アメリカのトランプ政権の専門家は、統計よりも多くの人が新型コロナウイルスの影響で死亡しているという見通しを示し、拙速に経済活動を再開すれば「死者を増やすことになる」として、改めて慎重に対応するよう呼びかけました。
ジョンズ・ホプキンス大学のまとめによりますと、アメリカで新型コロナウイルスによって亡くなった人は、日本時間の13日午前11時の時点で、8万2000人を超えて世界でもっとも多くなっています。

しかし、アメリカでは、新型コロナウイルスが原因とされるケースを差し引いた死者の数が例年よりも大幅に増えています。

このため、実際にはさらに多くの人がウイルスの影響によって死亡したのではないかと指摘されています。

こうした中、トランプ政権の感染対策チームのファウチ博士は12日、議会上院で証言し、「自宅で亡くなり、ウイルスによる死者に含まれていない人もいるので、具体的な数はわからないが、統計よりも死者が多いことはほぼ間違いない」と述べ、感染の全体状況を十分に把握しきれていないとしています。

こうした状況を受けて、ファウチ博士は「不適切な方法で経済活動を再開したら爆発的な感染を引き起こし、死者を増やすだけでなく、経済の復興にも影響が出ることになる」と述べ、経済活動の再開に向けて改めて慎重に対応するよう呼びかけました。

NY中心部ではかなりの時間かかるか

新型コロナウイルスの感染者がアメリカでもっとも多い、東部ニューヨーク州では、今月15日に外出や経済活動の制限の期限を迎えます。

それ以降は、入院患者や死者数、病院の受け入れ態勢など7つの基準を満たした地域から、業種を4つに分けて段階的に経済活動の再開を認める方針です。

具体的には、第1段階は建設業や製造業、第2段階は小売業や金融、第3段階は飲食店や宿泊業、第4段階は教育機関や娯楽などとしています。

この4つの段階について、ニューヨーク州のクオモ知事は、12日の記者会見で、次の段階に移行するまでの期間は問題がなければ短くなる可能性はあるとしながらも、「感染爆発が分かるには14日間かかる」と述べ、14日間は必要だという認識を示しました。

まずは、中心部から離れた3つの地域で、第1段階の製造業や建設業について営業再開が認められる見通しですが、感染者が特に多いニューヨーク中心部ではすべての業種で経済活動が再開されるまでにかなりの時間がかかりそうです。