緊急事態宣言解除の基準「10万人当たりの感染者数」など検討

緊急事態宣言解除の基準「10万人当たりの感染者数」など検討
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緊急事態宣言の一部地域での解除にあわせて、政府は「基本的対処方針」を変更することにしており、解除後も、感染拡大を防ぐために、宣言が解除されない地域への移動や「3つの密」がある場所への外出は避けるよう促す方向で調整しています。
緊急事態宣言について、政府は14日、「特定警戒都道府県」の一部とそれ以外の34県すべてで解除する方向で検討しており、それにあわせて変更する予定の「基本的対処方針」の原案が明らかになりました。

この中では、宣言の解除を判断する基準として、▽感染の状況、▽医療提供体制、▽監視体制の3点を踏まえて、総合的に判断するとしています。

このうち、感染の状況に関する判断基準では、「直近1週間の新たな感染者数が10万人あたり、0.5人程度以下」になることを目安とするとしています。

この場合、東京都では、新たな感染者数の合計が「1週間で70人程度以下」となることが解除の目安となります。

そして、この目安を下回った場合は、感染者の集団=クラスターや院内感染、それに感染経路が分からない症例の発生状況なども考慮して判断するとしています。

医療提供体制については、重症患者の数や病床の状況のほか、患者の急増に対応できる体制が確保されているかどうか、▽監視体制は、必要なPCR検査が遅滞なく行える体制が整備されているかどうかを、判断基準にするとしています。

一方、解除したあと、感染が拡大して、再び宣言の対象にするか判断する際には、▽直近の感染者の数や、▽感染経路が不明な患者の割合などを踏まえて、総合的に判断するとしています。

また、「基本的対処方針」の原案では、宣言が解除された地域でも、基本的な感染防止策の徹底などを継続する必要があるとして、取り組むべき具体策を示しています。

この中では、人と人との距離の確保、マスクの着用、手洗いをはじめとした「新しい生活様式」の定着を求めています。

また、不要不急の帰省や旅行など、宣言が解除されない地域への移動は避けるように促しています。

さらに、繁華街の接待を伴う飲食店などこれまでにクラスターが発生しているような場所や、「3つの密」のある場所への外出も避けるよう呼びかけるとともに、このような施設に対しては、地域の感染状況などを踏まえて、必要な協力を依頼するとしています。

また、全国的かつ大規模なイベントなどは、リスクへの対応が整わない場合は、中止や延期など、慎重な対応を求めています。

一方、職場への出勤に関しては、在宅勤務や時差出勤など、人との接触を減らす取り組みの継続を呼びかけています。

このほか、▽感染拡大の予防策として、濃厚接触者を把握できるアプリなどの活用も有効だと指摘しています。

そのうえで、今後、感染状況などに変化があれば、各県が、これまでと同様、特別措置法に基づいた外出の自粛や休業の要請を行うことを検討するとしています。

そして、宣言が解除されない地域も含めた、今後の全般的な方針として、地域の感染状況や医療提供体制などを踏まえながら、各知事の判断で、段階的に社会や経済の活動レベルを上げていくとしています。

そのうえで、将来、全ての都道府県で宣言が解除された場合も、「新しい生活様式」が定着するまで一定の移行期間を設けて、段階的に外出の自粛や休業要請などを解除していくとしています。

解除条件 専門家会議の検討は

新型コロナウイルス対策を話し合う政府の専門家会議は、緊急事態宣言を解除する条件について、「直近1週間の新規感染者数の合計が10万人当たり、0.5人未満」などといった目安を示す方向で検討していることが分かりました。

専門家会議は14日、提言として示すものとみられます。

緊急事態宣言を解除する条件について、専門家会議は感染の状況と医療体制、それに検査体制の3つの要素をもとに判断すべきだとする考えを示していて、その目安を具体的な数値として示せないか検討を続けてきました。

このうち感染の状況については、都道府県ごとに直近1週間の新規感染者数の合計が「その前の1週間の合計を下回っていること」や「10万人当たり、0.5人未満となっていること」などといった目安を検討していることが分かりました。

また、医療体制については、数値は示さないものの、重症患者が減少傾向にあることや患者が急増した場合に対応できる体制が整えられていることなどを盛り込むことを検討しています。

このほか、専門家会議は今後、感染が再び拡大した場合に再度、緊急事態宣言を出す際の条件などについても検討を進め、14日に予定されている会議で提言として示すものとみられます。