国連決議案 “WHO支持”にアメリカが反論「中国が利用」

国連決議案 “WHO支持”にアメリカが反論「中国が利用」
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、国連の安全保障理事会で審議されている決議案をめぐって、WHO=世界保健機関を支持するという文言にアメリカが反対して採決が見送られたことについて、アメリカ政府関係者は、中国は自国のウイルス対策を正当化するため、決議案を利用しようとしたと反論しました。
国連安保理では、ことし3月、グテーレス事務総長が新型コロナウイルスの感染防止に専念すべきだとして、世界のすべての紛争当事者に停戦を呼びかけたのを受けて、フランスとチュニジアが先月、これを後押しする決議案を提案しました。

ところが、決議案に盛り込まれた「WHOを支持する」という文言をめぐって、WHOは中国寄りだとして拠出金の停止を表明しているアメリカが反対したのに対し、WHOを擁護する中国が賛成して協議が紛糾しました。

その後、5月に入り、「WHO」という固有名詞でなく、「健康問題を扱う専門組織」とした修正案が示されましたがアメリカは同意せず、結局、採決は見送られました。

これについて、アメリカ政府関係者は12日、NHKの取材に応じ、「残念なことに中国は武漢でのウイルス対策は正しかったという誤った主張を推し進めるため、決議案を利用しようと決意していた。安保理は決議の目的を停戦の呼びかけへの支持か、ウイルス対策の透明性の重要性に絞るべきだった」として責任は中国にあると反論し、決議案の審議は米中の対立で宙に浮いたままです。