マスクや運動不足…新型コロナでリスク高まる熱中症どう防ぐ?

マスクや運動不足…新型コロナでリスク高まる熱中症どう防ぐ?
新型コロナウイルスの対策が続く中で迎える熱中症シーズン。マスクの着用や運動不足で熱中症のリスクが例年以上に高まっているとして、今月、医師らで作る団体が予防のポイントをまとめた緊急提言を発表しました。暑さに体を慣らすため室内でも軽い運動をすることや、少ない量でも効率的に水分補給ができる「経口補水液」の準備などを呼びかけています。

“医療崩壊”への危機感

「このまま熱中症シーズンを迎えたら、日本の医療現場は崩壊します!」

今月1日、このような見出しで熱中症対策への危機感を伝える緊急提言を発表したのは、医療や福祉の専門家13人でつくる「教えて!『かくれ脱水』委員会」です。

総務省消防庁によると、去年5月から9月までに熱中症で病院に搬送された人は全国で7万1317人。委員会は「新型コロナウイルスへの対応でキャパシティを超えつつある医療機関に例年通りの熱中症患者が搬送されたら、日本の医療機関の多くが機能しなくなるリスクがある」として、熱中症対策の徹底を強く呼びかけました。

マスクと外出自粛 熱中症リスク増加

提言でまず指摘しているのは、ことしはマスクの着用や外出の自粛で、熱中症のリスクが高まっているということです。

外出の自粛で運動不足になると、汗をかいて体温を下げる体の準備が十分にできないほか、水分をためる機能のある筋肉が減り、脱水状態になりやすいからだといいます。

さらにマスクをつけていると体内に熱がこもりやすく、のどの渇きも感じづらくなり、知らないうちに脱水が進んで熱中症になるリスクがあるとしています。

熱中症予防 7つのポイント

提言では、予防のための7つのポイントを紹介しています。
(1)3食をきちんと食べる
(2)のどが渇いたなと感じ始めたら水分摂取(多量のカフェイン摂取を控える)
(3)経口補水液を家族1人2本×3日分常備
(4)クーラーをすぐつけられるよう調整し、暑いと感じる場所にいない
(5)換気をこまめにし、湿度も高くならないよう注意(環境省ウェブサイトで毎日発表される「暑さ指数」もチェック)
(6)快適な環境でよく睡眠をとる(疲労も熱中症リスク)
(7)人混みを避けた散歩や室内での軽い運動を行う

「経口補水液」がおすすめ

水分摂取で勧めているのが、ポイント(3)でも紹介されている「経口補水液」。ドラッグストアなどで販売されています。

のどがあまり乾かない人や、トイレに頻繁に行くのを気にして水分摂取を避けてしまう人もいるかもしれませんが、経口補水液は少量で効率よく、塩分補給ができます。

食欲がなく3食きちんと食べられないという状況でも、1日500ミリリットルの経口補水液を1時間くらいかけてゆっくり1本飲むことなどで、水分と塩分を補うことができるといいます。

市販のものが近くで手に入らない場合のために、「教えて!『かくれ脱水』委員会」は、ホームページで家庭向けに経口補水液の作り方も紹介しています。(https://www.kakuredassui.jp/stop/knowledge/care/care06)※NHKのサイトを離れます。

医療と自分自身を守るために

緊急提言をまとめた委員会の副委員長、谷口英喜医師は「発熱やけん怠感などの熱中症の症状は、新型コロナウイルスの軽度の症状によく似ているため救急搬送の際に感染予防の対策が必要になるなど、医療体制にかかる負荷も非常に大きい。熱中症は十分に予防ができる病気なので医療を守り、自分自身を守るために、これからの季節はぜひ予防を徹底してもらいたいと思います」と呼びかけています。