国内スポーツ大会相次ぐ中止や延期 収入減に危機感 コロナ影響

国内スポーツ大会相次ぐ中止や延期 収入減に危機感 コロナ影響
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で国内のスポーツの大会は中止や延期が続いていて、競技団体は収入の大幅な減少に危機感を抱いています。選手の強化にも影響が出かねないため、一部の競技団体は、今後も大会が開催できない場合に備えて対策を練り始めています。
先月行われたJOC=日本オリンピック委員会と各競技団体との会合では、大会が開催できないことで入場料やスポンサーからの協賛金、テレビ中継の放送権料などがなくなり、大幅な減収が懸念されるという声が多くの競技団体から上がっています。

トライアスロンはすでに7月末までのすべての国内大会が中止や延期となっているほか、その先の見通しも立っていません。このため日本トライアスロン連合は今年度の収益の減少幅を25%から50%まで複数想定し、選手強化費を極力削らずにやりくりできるようシミュレーションしているということです。

また日本テニス協会は年間の収入の半分以上を9月の国際大会が占めているため、ことし大会が実施できない場合でも若手選手の育成や競技の普及事業に影響が出ないよう、幹部が緊急で会議を開いて、協会の使用施設の削減などで経費をどこまで切り詰められるかといった対策を議論しています。

4月の競泳の日本選手権や6月の陸上の日本選手権をはじめ、国内の主要な大会は軒並み中止や延期が続いていて、ある競技団体の幹部は「大会による直接の収入がなくなるだけでなく、スポンサー企業が露出する機会が減ることで来年度以降の契約延長にも関わってくる可能性がある。選手の強化にも影響が出るおそれがある」と話しています。

日本テニス協会 収入半減も

世界各地を回るテニスのツアー大会は新型コロナウイルスの影響で、男女ともことし7月半ばまで中止が決まっています。この事態に懸念を募らせているのが日本テニス協会です。

テニス協会は年間の収入が20億円余りですが、そのおよそ50%を毎年秋に東京で行われる国内唯一の男子のツアー大会、「ジャパンオープン」が占めているからです。大会には世界のトップ選手が出場し、去年は期間中に合わせて10万人を超えるファンを集めました。

大会を実施できず、チケットの売り上げやスポンサーの協賛金などが入ってこなくなると、テニス協会が行っている若手選手の育成やテニスのすそ野を広げる普及事業にも影響が出かねないため、協会は11日、幹部がオンラインによる会議を行い、大会ができない場合に備えた対策を話し合いました。

会議では「ジャパンオープン」の大会責任者を務める川廷尚弘副会長が「選手や来場者、関係者の安全確保を考えなければならないし、世界中から選手が来るので、それぞれの国の状況も見なければならない」と新型コロナウイルスに対応しながら国際大会を開く難しさについて触れました。

また協会の財務委員長は今年度の収入減を見据えた対応について、「銀行にも相談したが、現時点では融資を受けることは難しい。経費を思い切って削ってもこの状況ですべてをカバーすることは難しいが、いちばん大切な普及育成活動に支障を来すと今まで継続して取り組んできたものが大きな損害を受ける」と説明しました。

会議後、日本テニス協会の高橋甫常務理事は「協会財政のほとんどがジャパンオープンの収入という現状からの脱却を目指す取り組みを年始に始めたが、そのやさきに新型コロナの問題が表面化してしまった。特に若手の育成、強化は協会の自己財源でやっているので、対策をとらなければ、普及、育成、強化の事業が大幅に削減される」と指摘しました。

協会内では対策として、役員報酬のカットや使用施設の削減による賃料の節約、理事からの寄付などの案が上がっているということで、高橋常務理事は「最悪の事態を想定した検討をしてどう補填(ほてん)できるか、われわれの今後の努力にかかっている」と話していました。