「もう限界」都内で営業再開や深夜営業の飲食店も 新型コロナ

「もう限界」都内で営業再開や深夜営業の飲食店も 新型コロナ
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東京都は飲食店に対して引き続き夜8時までの営業を要請し、酒類の提供は夜7時までとしていますが、今週からは深夜まで営業する店が増えています。
夜8時以降も店を開けている複数の店の経営者に話を聞いたところ、「家賃や従業員の給料を支払うためにはどうしても手元に現金が必要だ。収入を得るためには店を開けざるをえない」などと答えていました。

また当初は緊急事態宣言が今月6日までの予定だったため、そこまではなんとか要請に応じたものの、今月末まで続けるのは無理だという声も聞かれました。

東京都の場合、休業や営業時間の短縮の要請に応じた場合、50万円または100万円が協力金として支払われますが、ほとんどの店では店舗の賃料や人件費などの費用には足りないということです。

さらに、協力金や緊急の融資の申し込みをしても、手元にはまだ届いていないというケースがほとんどで、ある居酒屋の経営者は「もはやこれ以上要請に従うのは限界だ。感染防止が大事なことは理解しているが、これ以上休業すると生活できない」と話していました。

ただ、8時以降に営業すると苦情が寄せられることも多いということで、入り口の看板の明かりを消したりシャッターを閉めたりして目立たないように営業する店もありました。

午前0時前に都内の居酒屋で飲んでいた男性は「2週間ぶりに飲みに来た。自粛で外に出る機会が少ないのでストレスがたまる。自分たち客にとっては店が遅くまで開いていることはありがたいし、応援したい面もある」と話していました。

営業再開した居酒屋は

これまで自主的に休業を続けてきたものの「収入がまったくない状態が続くのは厳しい」として営業を再開する飲食店なども多くあります。

このうち東京 新宿区の居酒屋は、緊急事態宣言を受けて先月11日から休業していましたが、11日から1か月ぶりに営業を再開しました。
再開にあたって店では、客どうしの距離が近くならないように宴会用のフロアを閉鎖しテーブル席のみの営業にするなど、感染防止策を徹底しています。またテイクアウトだけでなく酒の販売免許を取得して、日本酒の量り売りも始めました。

店によりますと家賃や人件費などの固定費が毎月およそ150万円かかり、休業の協力金を受け取っても大幅な赤字になるということです。また、調理に必要な設備などを長く使わないとメンテナンスが必要になることもあり、店を開けることを決めたということです。

営業再開初日の11日は店内で飲食する客は以前より大幅に少ない状態でしたが、常連客の中には持ち帰り用の弁当を買いに来る人もいました。

この店では当面の間、都の要請に応じて午後8時までに時間を短縮して営業するということです。
店長の男性は「まだ声を大にしてお客さんに来て下さいと言える状況ではないが、わずかでも収入を得るためには店を開けなくてはならず複雑な気持ちだ。緊急事態宣言がいつ終わるか見通しが分からず、行政には出口をきちんと示してほしい」と話していました。