中国 観光地の70%再開 入場制限など新型コロナ対策も

中国 観光地の70%再開 入場制限など新型コロナ対策も
新型コロナウイルスの感染拡大の勢いを基本的に抑え込んだとしている中国では、すでにおよそ70%の観光地が再開していますが、多くの観光地では入場者数を制限したり事前予約を求めたりするなどの対策がとられています。
このうち北京にある世界遺産の故宮は、およそ3か月ぶりに今月1日から観光客の受け入れを再開しました。

入場にあたっては、スマートフォンのアプリを通じて新型コロナウイルスの感染リスクがないことを証明する「健康コード」の提示が求められているほか、体温検査も行われます。

また、インターネットでの事前予約制としていて、以前は1日8万人まで受け入れていた観光客を、5000人に制限していて、9日も、広々とした故宮の敷地内は閑散としていました。12日からは1日の入場制限を8000人にまで増やすということです。

故宮では感染のリスクを避けるため、室内の展示スペースは開放されていないほか、多くの土産物店も閉店したままです。

訪れていた女性は「以前訪れたときと比べて観光客はずっと少ないので、とてもいいです。感染防止対策もしっかりされているので、安心です」と話していました。

また、カメラで撮影を楽しんでいた女性は「撮影に邪魔になる人も少なく、写真を撮るのにちょうどいいです。花のある春を過ぎたのが残念ですが、ようやくいい機会が戻ってきました」と話していました。

スマホで感染リスク判定「健康コード」

中国では、スマートフォンのアプリを通じて新型コロナウイルスの感染リスクがないことを証明する「健康コード」と呼ばれるシステムが、各地で導入されています。

このうち、首都北京では、「北京健康宝」と呼ばれる健康コードの運用が、ことし3月から始まっていて、オフィスビルや観光地に入る際や飲食店で食事をする際などに提示を求められることが増えています。

SNSの「ウィーチャット」か、スマホ決済の「アリペイ」のアプリを通じて、名前と顔写真のほか、IDカードやパスポートの番号を登録すると、新型コロナウイルスの感染リスクが、リスクが高い順に「赤」、「黄」、「緑」の3段階で示され、異常がないとされる「緑」でなければ、飲食店などに入ることができません。

感染リスクの判定について、当局は、個人の位置情報ではなく、鉄道や飛行機での移動記録などのビッグデータと照合して行っていると説明していますが、具体的にどのようにデータを分析して判断しているのかは不透明で、こうしたシステムによって監視がさらに強まるのではないかと懸念する声もあります。
一方、上海では、新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ消費を回復させようと、大規模なセールが行われました。

セールは今月1日から始まったメーデーの5連休に合わせて上海市の呼びかけで行われ、市内の主要な商業施設やネット通販企業などが参加しています。

今月4日には、上海市のトップ、李強書記のほか、大規模セールに参加している企業の代表などが参加したイベントが行われました。

このイベントには、ことし3月、上海市の代理市長に就任したばかりの※きょう正氏が出席して演説しました。

インターネットを通じて生中継されたこともあり、会場では主催者側が、「カメラに写る場所にいる人はマスクを外してください」と求めるなど、感染拡大の勢いを基本的に抑え込んだことをアピールしていました。

※「きょう」は、「龍」の下に「共」。