プロ野球とJリーグ「開幕・再開の日付決定は困難」新型コロナ

プロ野球とJリーグ「開幕・再開の日付決定は困難」新型コロナ
プロ野球とサッカーJリーグが新型コロナウイルスの対応策を協議する「対策連絡会議」が開かれ、専門家からは現時点でシーズンの開幕や再開の日付を決めるのは難しいという見解が示されました。
対策連絡会議はウェブ形式で非公開で開かれ、プロ野球12球団の代表者やJリーグの理事などが出席して、3人の感染症の専門家から意見を聞きました。

会議の後の会見で、東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は、新たな感染者数は減少してきているものの、緊急事態宣言が続いている現時点でシーズンの開幕や再開の日付を決めるのは難しいという見解を示しました。

そのうえで「まだまだ予断を許さない状況で、再流行のリスクを念頭に置いた対応が必要だ。できるだけ慎重に再開に向けた準備を行っていただきたい」と述べました。

また、会見の中でプロ野球の斉藤惇コミッショナーも「一定の日をはっきり置いて開催を決めることは今できないと思う」と、現状では開幕の具体的な日付は決められないとしたうえで、「状況が改善し、緊急事態宣言が解除されれば、開幕に向けて議論を始めていく」と述べました。

そして、Jリーグの村井満チェアマンは「世界のいくつかの国ではプロスポーツが再開したところがあるが、そこで再流行が報じられているところもある。再開後に安定的に運営できるか、長期的に準備していかなければいけない」と話しました。

さらに、会議の中で専門家3人からはシーズンの開幕や再開に備えて、チーム内で感染者が出た場合の対応や移動のリスクを考慮した体制などを盛り込んだガイドラインを作るべきだと提言されました。

プロ野球 斉藤コミッショナー「丁寧な準備に入りたい」

会見でプロ野球の斉藤惇コミッショナーは「開幕できた場合に備えて細かいガイドラインを作成し、丁寧な準備に入りたい。状況が改善して緊急事態宣言が解除されれば、流れとしては開幕に向かって動くことになると思う」と話していました。

また、選手やスタッフの移動に伴うリスクを抑えるため、開催地域を絞って試合を行う考えがあるかという質問に対して、斉藤コミッショナーは「まだ12球団と具体案を話している段階ではないが、考え方の一つとして、ないことはないと思う」と話していました。

Jリーグ 村井チェアマン「世の中のコンセンサスを得て」

サッカーJリーグの村井満チェアマンは、対策連絡会議の専門家から現時点で公式戦の再開の日付を決めるのは難しいという見解が示されたことについて「今月14日に一部地域の緊急事態宣言の解除や、産業別に自粛を解いていくなどのガイドラインが示される可能性もある。Jリーグとしては宣言を尊重し国民の健康が第一というスタンスのもと、世の中のコンセンサスが得られれば、段階的に試合開催に向けて準備を整えていく」と話しました。

また、今月16日に再開を決めたドイツリーグでは1部、2部の36クラブすべて、1700人余りの選手やスタッフに対してウイルス検査が実施されたことを聞かれると「きょうの会議でも選手を代表する意見として万全な検査態勢がある状況の中で、試合再開に臨んでいきたいというものがあった。一人一人を検査することは望ましいが、検査を専有することは考えていない。新しい情報を拾い上げながら独自の態勢を考えていきたい」と話しました。

専門家はガイドライン作成を提言

11日の対策連絡会議で専門家は、シーズンの開幕や再開に備えて感染対策などをきめ細かく盛り込んだガイドラインを作成するよう提言しました。

会議後の会見で東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は「緊急事態宣言が解除された後、リスク管理を行いながら活動するためには感染対策や感染症が発生したときの対応などを含めた非常にこまやかなガイドラインをこの時期にしっかりと、作成するべきだ」と開幕したあとも見据えたガイドラインを早期に作成する必要性を訴えました。

また、試合会場に向かうための新幹線や飛行機を使った移動に伴う感染リスクも考慮して「試合を開催する場所をある地域に固めることで、移動を少なくし、それを第1段階として、第2段階は状況をみながらエリアを広げていく。そうしたことも1つの考えとするなど、柔軟に対応していくことが重要になると思う」と意見を述べました。