“拙速な9月入学導入は問題を深刻化” 日本教育学会メンバー

“拙速な9月入学導入は問題を深刻化” 日本教育学会メンバー
新型コロナウイルスの影響で休校が長期化するなか、一部の知事などから、9月入学を求める声が出ていることについて、教育学者らが記者会見を開き、拙速な9月入学の導入はかえって問題を深刻化させると指摘し、丁寧に議論するよう求めました。
文部科学省で11日、記者会見を開いたのは、教育制度などの専門家でつくる日本教育学会のメンバーです。

このなかで、学校の休校が長期化するなか、一部の知事などが9月入学を求めていることについて、子どもや保護者、教職員の不安の声に応える実効性のある対策を検討すべきであり、拙速な9月入学の導入はかえって問題を深刻化させると指摘しました。

そのうえで、新型コロナウイルスのさなか、その解決策として性急に実施すれば、さまざまな問題が予想され、将来的にそれらが解消されるには十数年かかるとして、多くの関係者の意見を反映し、慎重に検討すべきとしています。

日本教育学会会長の日本大学の広田照幸教授は「導入については、教育の制度の実態をあまり知らない方が議論しているのではないか。財政的にも制度的に大きなきしみ、不具合が生じる。今年、来年、いずれに導入しても大きなダメージが生じる」と話していました。

東京都立大学の乾彰夫名誉教授は「教育格差の問題は9月入学では解消しない。ひとり親家庭の学習保障など、今、不安が高まっている問題に早急に対応すべきだ」と話していました。