安倍首相”収束へ着実に進むことができている” 衆院予算委

安倍首相”収束へ着実に進むことができている” 衆院予算委
緊急事態宣言の延長を受けて行われた衆議院予算委員会の集中審議で、安倍総理大臣は、外出の自粛などによって、新型コロナウイルスの感染の収束に向けて着実に進むことができているという認識を示しました。そして、今月14日に緊急事態宣言を解除できる都道府県があるかを判断したうえで、必要に応じて、第2次補正予算案の編成にも取り組む考えを示しました。

緊急事態宣言の延長について

自民党の後藤茂之氏は「新規感染者数は減少に転じることができた。ウイルスとの闘いに勝利するために、国民一人一人が互いに支えあい、役割を自覚し、みずからやれることを責任をもって実行していくことが必要だ。緊急事態宣言の延長によって、引き続き感染防止に協力いただく国民へのメッセージを伺いたい」と質問しました。

これに対し安倍総理大臣は「国民の皆様には強い意志の力を持って、自宅で過ごしていただき、まさに自粛をしていただいた結果、収束への道を着実に進むことができている。残念ながら延長となったことにつきましては、国民の皆様におわびを申し上げたい。この間にしっかりと収束させるべく、われわれとしても全力を挙げていきたい。しっかりと、さまざまな支援を1日でも早くお届けするように全力で取り組んでいく」と述べました。

また西村経済再生担当大臣は今月14日をめどに専門家会議を開き、新規感染者の数などを踏まえて、緊急事態宣言の解除を検討するとしたうえで、解除後も引き続き、都道府県をまたいだ不要不急の移動や、全国的な大規模イベントの開催の自粛を要請することになるという認識を示しました。そして西村大臣は「解除後、再び感染者の数が増加し、オーバーシュートの兆しが見られるような事態になれば、再指定の必要が出てくる」と述べました。
立憲民主党の枝野代表は、緊急事態宣言の延長をめぐり「延長に相応するぐらいは、少なくとも補償や支援が上積みされなければならない。そして、どうなったら解除されるのか、客観的な基準は示されていない。精神論では仕事を失ったり収入を失った皆さんを支えることはできない。この間、スピード感のなさを感じざるをえない」と指摘しました。

これに対し安倍総理大臣は「厳しい状況にある皆さんに対する支援はスピード感が大切だ。最大200万円の持続化給付金については、早い方で今月8日からお届けをスタートしているが、こうした形で一日でも早くさまざまなメニューをお届けしたい。ただもちろん、もっともっと早くというご指摘があることもわれわれは真摯(しんし)に受け止めなければならないし、手続きの簡素化にもできるかぎり努めていきたい」と述べました。

第2次補正予算について

国民民主党の玉木代表はさらなる経済対策について「第2次補正予算はどのぐらいの規模、どのような内容で、いつ編成するのか。少なくとも、今の国会の会期中には行わなければいけないし、今月中に編成し、第2弾の支給を来月から始めるというぐらいにしないと、収まるものも収まってこない」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は「今月14日に、各地方自治体の状況を見て、緊急事態宣言を解除できるところがあるかどうかという判断を行うが、そうした中で、さらなる対策が必要だという判断をすれば、果断にタイムリーに対応していきたい。スピード感が大切なので、対策が必要であれば、この国会の中で対応していきたい」と述べました。

学生への支援について

公明党の高木美智代氏は「飲食店などの休業でアルバイト収入が減ったり、実家の家計が悪化して仕送りが無くなり、学費や家賃が払えず生活できなくなった多くの学生の声を聞いている。緊急の給付金の仕組みを速やかに作ることが必要だ。予備費を活用し、1人10万円を支給してはどうか」と求めました。

これに対し安倍総理大臣は「修学や学業の継続を断念しなければならない事態は、絶対に避けなければならない。経済的に厳しい状況にあるアルバイトの学生への支援については、公明党から提案をいただいているが、野党の意見も伺う必要がある。与党や与野党での検討を踏まえ、学業の継続に支障が生じることがないように、速やかに追加的な対策を講じていきたい」と述べました。

出口戦略について

日本維新の会の藤田文武氏は「出口戦略とよく言われるが、政府が、今度出す解除要件はあくまで短期の出口戦略で、これから向き合わなければいけないのは再流行のおそれがある中長期の出口戦略だ。感染をとにかく絞ってゼロにするのか、ある程度、許容して社会の中で受け入れていくのか、中期の出口戦略について、どのように考えているのか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「有効な治療法やワクチンが開発されるまではある程度の長期戦を覚悟しなければならず、感染防止と社会経済活動の維持との両立に配慮した新たな道をつくり上げていくことが必要だ。専門家の皆様が策定した新しい生活様式を踏まえ、今週中を目途に、業態ごとに活動を本格化するためのより詳細なガイドラインを策定していく。世界的な感染の収束を見据えながら、出口に向けて戦略をしっかりと立てていきたい」と述べました。

派遣労働者への支援について

共産党の宮本徹氏は「派遣労働者から、全国の労働組合に悲鳴が寄せられている。無給休業で多くの人が苦しみ、ここに来て、派遣切りや雇い止めの相談も増えてきているが、こうした派遣の実態をつかんでいるのか」と指摘しました。

これに対し安倍総理大臣は「すでに経済団体や派遣事業者団体などを通じて、企業に対し、解雇、雇い止めなどを防止するため、雇用調整助成金の活用を促すなど、最大限の経営努力を行うことをお願いをしている。そのうえで、仕事が減るなどにより収入が減少し、生活に困窮されている方に対しては80万円までの小口資金の貸し付けを進めている。雇用の維持に全力で取り組むとともにしっかり生活の下支えをしていく」と述べました。