外交評論家の岡本行夫氏が死去 新型コロナウイルスに感染

外交評論家の岡本行夫氏が死去 新型コロナウイルスに感染
外交評論家で、小泉内閣や橋本内閣で内閣総理大臣補佐官を務めた岡本行夫氏が、新型コロナウイルスに感染し、亡くなっていたことが、外務省関係者への取材でわかりました。74歳でした。
岡本行夫氏は、外務省の北米第一課長などを歴任したあと、外交評論家になり、当時の橋本内閣で沖縄問題担当の総理大臣補佐官を務めました。

その後、小泉内閣でも総理大臣補佐官に任命され、イラク戦争が終結したあとの復興に向けた政府の支援策の検討にあたりました。

総理大臣補佐官を退任したあとは、外交評論家としてテレビに出演するなど活動していましたが、外務省関係者によりますと、新型コロナウイルスに感染し、先月下旬、亡くなったということです。

菅官房長官「突然で驚いている」

菅官房長官は8日の記者会見で、「突然の訃報に大変驚いている。岡本氏のこれまでのご功績に深い敬意を表し、ご遺族に心から哀悼の意をささげるとともに、岡本氏のご冥福をお祈り申し上げる」と述べました。

茂木外相「熱い心 受け継ぎたい」

茂木外務大臣は記者会見で、「突然の訃報に接し、痛惜の念に堪えない。現場に何度も足を運び、現場の声に常に耳を傾ける姿に、多くの人が深い感銘を受けた。日本や世界のためを思う彼の熱い心をしっかりと受け継ぎたい」と述べました。

河野防衛相「懇意にしている方でショック」

河野防衛大臣は記者会見で「沖縄の件で、さまざまな提言をいただいたこともあったし、『また食事に行きましょう』と話をしていたので驚いた。本当に懇意にしている方が、新型コロナウイルスで亡くなられたのはショックだ。ご冥福をお祈り申し上げたい」と述べました。

小池都知事「コロナは身近な命に関わる問題」

東京都の小池知事は記者会見で、「長年の友人である外交評論家の岡本氏が亡くなられたという報に接した。心から謹んでご冥福をお祈りしたい」と述べました。そのうえで小池知事は「こうやって身近な方が亡くなったり、感染されたりという情報に接すると、いかにコロナウイルスが身近なものであって大きな命に関わる問題であるということを知らしめてくれる」と述べました。

アーミテージ元国務副長官「日米関係の巨人」

アメリカで知日派として知られ、岡本行夫氏と親交のあったアーミテージ元国務副長官は、「岡本行夫氏は、日米関係の巨人だった。彼は国のために最善と思ったことを常に行った。それゆえ、私の目から見れば、彼は真の愛国者だった。お祈り申し上げます」というコメントを発表しました。

ジョセフ・ナイ教授「日米関係と同盟の擁護者」

アメリカのクリントン政権で国防次官補を務め、沖縄の基地問題など日米関係に深く関わってきたハーバード大学のジョセフ・ナイ教授は、「岡本行夫氏は、個人的な良い友人で、日米関係とわれわれの同盟のすばらしい擁護者だった。彼を失ったことに心から悲しんでいる。ひどいウイルスの悲劇的な犠牲だ」というコメントを発表しました。

ジェームズ・アワー名誉教授「知的で品のある人」

国防総省の日本部長を務め、30年以上にわたり岡本氏と親交のあったバンダービルト大学のジェームズ・アワー名誉教授は、NHKの取材に対し、「岡本氏は非常に知的で品のある人だった。めったにないことだったが、互いに意見が異なる時でも彼は常に私の意見に耳を傾け、私は彼を尊重した。最後に会ったのは2016年の12月で、彼は私が大統領選挙でトランプ氏に票を投じたと知って大変驚いていた」と振り返りました。そのうえで「新型コロナウイルスは世界の深刻な問題で、日本とアメリカが連携して早期に解決策を見つけることを期待する」と述べました。

米元高官「同盟築いた巨人だった」

アメリカのブッシュ政権でホワイトハウスのアジア上級部長を務め、岡本氏と30年以上親交のあったマイケル・グリーン氏は「衝撃的で悲しいニュースだ。岡本氏は、911の同時多発テロ事件のあとの困難な日々に小泉内閣と私のいたブッシュ政権にとってなくてはならない助言者だった。同盟は彼のような人物によって築かれている。岡本氏は真の巨人だった」と悼みました。