コロナ影響 相次ぐ悪質投稿“差別生じさせる許されない行為”

コロナ影響 相次ぐ悪質投稿“差別生じさせる許されない行為”
新型コロナウイルスをめぐって自粛要請が長期化する中、インターネット上では感染した人をおとしめたり、繁華街を訪れた人などを非難したりする書き込みが相次いでいます。こうした行為はインターネット上で「自粛警察」と呼ばれ、専門家は「差別を生じさせる許されない行為で、冷静に対応してほしい」と呼びかけています。
都内の20代の女性が感染が分かったあとに帰省先の山梨県から高速バスで都内に戻ったケースでは、インターネットの掲示板に、女性の名前や家族の職業だとされる書き込みや、女性の行動を「人殺しと同じだ」などと人格を著しくおとしめる書き込みが投稿されています。

鹿児島県でもことし3月、県内に立ち寄った女性の感染が発表されると、女性の行動を非難するほか、個人情報を特定しようとする書き込みが数多く行われるなど、インターネット上では感染した人を責めるような悪質な投稿が相次いでいます。

また、感染者への誹謗中傷以外にも、ツイッターなどのSNS上では、公園や店に人が集まっている写真や動画を掲載し、「自粛要請を無視している」などと非難する投稿が相次いでいます。

このほか、営業を休止している都内のライブバーが無観客でライブを実施し、インターネットで配信したところ、「自粛してください。次発見すれば、警察を呼びます」という貼り紙が貼り付けられたケースもありました。

こうした行為は、自粛要請に応じているか監視し取り締まるものだとして、インターネット上で「自粛警察」や「自粛ポリス」などと呼ばれています。

社会心理学が専門で東京大学大学院情報学環の関谷直也准教授は「背景には未知の病気に対する不安や行動を抑制されていることへの不満があり、他の人を非難することでそれを解消している」と指摘しています。

そのうえで「差別を生じさせる許されない行為で、冷静に対応してほしい」と呼びかけています。

SNSで相次ぐ投稿

実際に小売店の人出の多さを撮影し、SNSに投稿をしたという30代の男性はNHKの取材に対し、「自粛警察」と呼ばれるような行為をしたつもりはないとしたうえで「人が少なくなったところばかりを取り上げるマスコミに対し、利用者が増えている場所があり実態とは違うということを指摘したかった」と話しています。

一方、「警察を呼びます」という貼り紙が貼り付けられた都内のライブバーの経営者はNHKの取材に、「冷静に話し合えば分かり合える可能性もあるのに、このような形で誤解されるのは残念だ」と話しています。