PCR検査「さらに拡充し 早期診断を」専門家会議

PCR検査「さらに拡充し 早期診断を」専門家会議
専門家会議は提言に合わせて、日本国内でのPCR検査の対応に関する評価を示しました
この中では、各国の人口10万人当たりの検査数について、
▽イタリアやドイツは3000件余り、
▽アメリカやシンガポールは1700件余り、
▽韓国はおよそ1200件、なのに対して
日本はおよそ190件と、明らかに少ない状況にあるとしています。

一方で、人口10万人当たりの死亡者数は、
▽イタリアやスペインが50人前後、
▽アメリカがおよそ15人、
▽ドイツがおよそ7人なのに対し、
▽日本は0.3人と、欧米の10分の1以下だとしています。

その一方で、
▽3月下旬ごろからの感染者の急増に十分対応できなかったことや、
▽予期しない状況で重症化するケースが報告されていること、などを踏まえると、PCR検査をさらに拡充させ、より早期の診断と適切な医療につなげるようにすることが重要だとしています。

PCR検査 なぜ早期に拡充されなかった

専門家会議が示した考察によりますと、韓国やシンガポールでは、SARSやMERSの経験を踏まえPCR検査態勢を拡充してきたのに対し、国内ではこうした感染症の患者が多数発生したことはなく、地方衛生研究所の検査体制の拡充を求める声が起こらなかったとしています。

こうした背景を踏まえたうえで、専門家会議はPCR検査について、2月24日には「必要とされる場合に適切に実施する必要がある」「限られた検査の資源を重症化のおそれがある方の検査のために集中させる必要がある」とする見解を示し、3月初旬からは政府などに対しPCR検査体制の拡充を求めてきたとしています。

しかし、検査の件数は感染者が急増した3月下旬以降もなかなか増加せず、専門家会議はその原因として、
▽検査の調整を行う保健所の業務過多、
▽入院先を確保するための仕組みが十分機能しない地域もあったこと、
▽検査を行う地方衛生研究所が限られた資源の中で通常の検査も並行して行う必要があること、
▽マスクや防護具の圧倒的な不足、などを挙げました。

そのうえで専門家会議は、検査が必要と医師が考える、軽症者を含む感染の疑いがある人に対して、迅速かつ確実に実施できる体制に移行すべきだとして、国や都道府県に対して、
▽保健所や地方衛生研究所の体制強化、
▽感染防護具や検査キットの確実な調達、
▽PCR検査を補完する迅速診断キットの開発、
▽質の高い検査体制の構築、を求めました。