都内住宅街のスーパーや公園 人出減らず ビッグデータ分析

都内住宅街のスーパーや公園 人出減らず ビッグデータ分析
新型コロナウイルスの感染拡大で、外出の自粛が呼びかけられ、各地の繁華街では人出が大幅に減少しています。その一方で、東京都内の住宅街にあるスーパーや公園の周辺10か所について、ビッグデータを利用して分析したところ、先月7日に緊急事態宣言が出されたあとも、いずれの場所でも人出が大きく減っていないことがわかりました。
NHKは、練馬区や八王子市など都内の6つの区と市の住宅街にある合わせて10のスーパーや公園の周辺について、IT関連企業の「Agoop」が携帯電話の利用者の許可を得て集めた位置情報のデータを基に、先月30日までの2か月半の人出を個人が特定されない形で推計し、分析しました。

その結果、先月7日に緊急事態宣言が出されたあとの23日間では、スーパーの周辺ではいずれも人出が大きく減っていないことがわかりました。

特に八王子市のスーパーでは、およそ4割の日で人出が増えていて、このうち先月18日の土曜日は、国内で感染が広がり始めた2月中旬以降の土日や祝日の平均と比べ、2割以上増加していました。

また、公園の周辺では、すべての地点で合わせて7日以上人出が増えていて、このうち葛飾区の公園は、人出が減っていた日はわずか4日にとどまりました。

専門家「一人一人が何ができるか向き合って行動を」

感染症対策に詳しい広島国際大学の佐和章弘教授は、住宅街にあるスーパーや公園の人出が減っていない現状について、「健康と生活を維持するための、いわば『ライフライン』とも言える、公園やスーパーの利用を削減するのは困難で、限界がある。こうした場所は憩いの場であったり楽しむ場だったりもするが、この非常時においては『そうではない』と意識することが必要だ」と指摘しています。

そのうえで、佐和教授は「スーパーは密閉、密集、密接の3つの密となる可能性が高く、いつも以上に買い物内容の計画を立て、滞在時間の短縮を心がける必要がある。また、公園では遊具なども汚染されている可能性があり、おやつなどを食べて手で口を触るようなことは、接触防止の観点から控えるべきだ。多くの人が外出せざるをえないのは動かしがたい事実なので、一人一人が何ができるか、どんな行動ができるか、それと向き合って行動するしかない」と話していました。

外出制限にも限界が…

外出を極力控えながら毎日の生活を続けることは、簡単なことではありません。

東京 板橋区の主婦、三原友佳さん(33)は、夫と7歳の長男、2歳の長女と4人でマンションで暮らしています。現在、会社員の夫は仕事の多くがテレワークになり、長男の小学校も休みです。友佳さんも友人と会ったり横浜市の実家に帰ったりすることを控え、家族全員でなんとか「人との接触の8割削減」を目指そうとしています。

しかし、小さな子どもたちは一日中ずっと家でおとなしくしているわけにはいきません。ボールやシャボン玉で遊びたいなどと、せがまれるため、友佳さんは毎日1回は必ず近くの公園に連れていくようにしています。

ただ、この公園は比較的小さく、学校が休みになったことで以前よりも人が増え、時間帯によっては混んでいる時もあります。友佳さんは、夫と一緒に混み具合を確認したうえで、人が多いと判断した場合には、密集を避けるため少し離れた別の公園に移動するようにしています。

また、子どもたちが遊んでいる間は常に目を離さず、1つの遊具を遊び終えると、すぐに消毒用のアルコールを子どもの手につけて消毒をします。帰宅後も、子どもに手洗いをさせ、すぐに風呂に入らせるなど、家庭でできる対策をできるかぎり行っているといいます。

買い物は「3日に1回程度」を心がけていますが、毎日、家族4人が3食を家で食べるため、冷蔵庫が空になることも少なくありません。米や水などの一部を宅配に頼っていますが、利用者が多く配達が遅れる場合もあるため、肉や魚などの生鮮食品を求めて、近くのスーパーに足を運んでいます。

店内の混雑を避けるため、比較的すいているとされる午後の早い時間を選んで行くようにしていますが、それでも人との接触を完全に避けられるわけではありません。

緊急事態宣言の延長が決まり、今後さらに1か月近く外出の自粛が続くことについて、友佳さんは「しかたがないと思う反面、がっくりという気持ちもあります。ただ、感染拡大が収束しないことがいちばんこわいので、これまでどおり、最大限の注意を払って、家族の健康を維持できるように頑張りたいと思います」と話していました。