緊急事態宣言 全国対象 今月31日まで延長 諮問委が妥当の見解

緊急事態宣言 全国対象 今月31日まで延長 諮問委が妥当の見解
緊急事態宣言の延長をめぐり、政府が専門家に意見を聴く「諮問委員会」が開かれ、対象地域を全国としたまま、今月31日まで延長する政府の方針は妥当だとする見解が示されました。
緊急事態宣言の期限を6日に控え、政府は4日夕方、宣言の延長を正式に決定する方針で、これを前に、感染症の専門家などに意見を聴く「諮問委員会」が午前10時半ごろから開かれました。

冒頭、西村経済再生担当大臣は「新規の感染者の数は減少傾向に転じているが、感染者の減少の水準は目標のレベルには残念ながら達していない。依然として医療現場のひっ迫も続いており、国民の引き続きの協力が必要だ」と述べ、対象地域を全国としたまま、今月31日まで延長する方針を諮問しました。

合わせて基本的対処方針の変更も諮問し、特に重点的な取り組みが必要な「特定警戒都道府県」は追加せず、引き続き東京、大阪など13の都道府県で、これまでと同様の取り組みを継続する一方、それ以外の県では、地域の実情に応じて、感染拡大の防止と社会経済活動の両立に配慮した取り組みに移行する方針を示しました。

また、加藤厚生労働大臣は「感染の状況に応じて、それぞれの地域で対策を移行していくにあたり、社会経済の活動レベルの維持と感染拡大防止をどのように戦略的に行っていくのか、基本的対処方針の改定を議論してもらいたい」と述べました。
西村大臣は、諮問委員会の終了後、記者団に対し「緊急事態宣言の期間と区域、それに基本的対処方針について諮問した。実施すべき期間は今月31日まで、区域は全都道府県にするということで、了承いただいた」と述べ、政府の方針は妥当だとする見解が示されたことを明らかにしました。そのうえで「基本的対処方針案は、若干の微修正があるが、会長に一任ということで了承いただいた。このあと、夕方に予定されている対策本部で正式決定すべく、国会に報告するなどの手続きを進めたい」と述べました。

これを受けて、4日午後、衆参両院の議院運営委員会で報告と質疑が行われたあと、政府は、夕方の対策本部で宣言の延長を正式に決定することにしています。

そして、4日夜、安倍総理大臣が記者会見し、延長の理由などを説明し、改めて国民に協力を呼びかけることにしています。

諮問委会長代理「今後1、2週間で取り組み結果を評価」

諮問委員会の会長代理を務める川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は、「感染者数が落ち着きつつあるからと言って取り組みを元に戻してしまうとこれまでの努力が水泡に帰すことになる。もう一度やり直すことは、医学的にも経済的にもとても大変なことなので、われわれとしては、『すみません。もう少し我慢してください』ということだ。今後1、2週間程度で、取り組みの結果を評価する予定だ」と述べました。

神奈川 黒岩知事「速やかに出口戦略を」

諮問委員会に出席した神奈川県の黒岩知事は、「これまで住民に対し、『1か月間だから、息を止めて我慢してくれ』と言ってきたが、『もう1か月我慢してくれ』と言うのは、そう簡単ではない。今後、緊急事態宣言がどのように解除に向かうのかがわからないと人々は不安になってしまうので政府は速やかに出口戦略を示す必要がある」と述べました。