総合型地域スポーツクラブ 4分の1ほどで再開めど立たず

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、スポーツを楽しむ地域住民の拠点になっている「総合型地域スポーツクラブ」の多くが活動中止に追い込まれ、4分の1ほどのクラブは再開のめども立っていないことがわかりました。
総合型地域スポーツクラブは子どもから高齢者までさまざまなスポーツを楽しめるよう地域の住民が自主的に運営するスポーツクラブで、全国におよそ3500設立されています。

全国のクラブが加盟する「日本スポーツクラブ協会」が先月5日から10日間、活動状況について緊急アンケートを行ったところ、回答した243のクラブのうち67%のクラブが新型コロナウイルスの影響で活動を全面的に中止していました。

一部中止も合わせると全体の95%のクラブが活動縮小を余儀なくされていて、会費の収入にも影響が出ているということです。

損失額は40%近くのクラブですでに100万円を超え、500万円以上というところも5%、13クラブありました。

今後の経営については、「通常通り継続」が55%、「規模を縮小して継続」が11%だった一方、「継続や再開の見込みはたっていない」という回答が24%、「未定」が10%あり、クラブの先行きが見えなくなっている実態が浮き彫りになりました。

調査した日本スポーツクラブ協会の野川春夫理事長は「アンケートを取った時よりも今の状況はさらに厳しくなっているはず。ここまでそれぞれ努力して作り上げてきた地域でのスポーツの場が崩壊するおそれがある。クラブがなくなれば、ほかに運動する場のない高齢者の健康状態にも直結するし早急に手を打たなくてはならない」と危機感を強めています。

会費収入途絶える 苦しい実情

総合型地域スポーツクラブのほとんどは小中学校の体育館などを利用して活動しているため、3月に政府が小中学校の休校を要請して以降は活動を中止せざるをえませんでした。

東京・大田区の総合型地域スポーツクラブ「ピボットフット」は地元の小学校の体育館や運動場などを使ってバスケットボールやテニス、ランニングなど40の教室を行い600人余りの会員がいましたが、3月以降はすべての教室を中止しています。

会員向けに、自宅でできる運動の動画をインターネット上で配信していますが、月に300万円余りの会費収入が得られない状態が続いています。

クラブでは経営状況の悪化とともに再開しても運動の習慣がなくなった子どもたちやお年寄りがスポーツから離れることを懸念しています。

クラブの桑田健秀理事長は「中小企業を対象にした給付金や銀行の融資などをかき集めて乗り切ろうと思っているが、緊急事態宣言も延長される見込みだし、これ以上教室ができない状態が続くと非常に苦しい」と話していました。

近畿地方のある町を拠点とするクラブではさらに状況が深刻です。

このクラブはおよそ760人の会員がいて、会費や受講料として年間およそ1700万円を受け取っていますが、3月以降はほとんどの教室を中止していて会費の収入は全くありません。

返済できるあてがないため融資を受けることは考えていないということで、今後、経営を継続できるかどうかわからないということです。

クラブの担当者は「人件費を切り詰めるなどしてなんとか存続させたいが無理に再開しても年度の途中で経営を諦めなければいけなくなる可能性がある。あと1か月ほどのうちにクラブを再開させるかどうか判断しなくてはならない」と苦しい実情を打ち明けました。