聖火ランナーの店主死亡 新型コロナに五輪延期 先行き悲観か

聖火ランナーの店主死亡 新型コロナに五輪延期 先行き悲観か
先月30日、東京 練馬区のとんかつ店で火事があり、54歳の店主の男性が死亡し、遺体には油を浴びたような形跡があったことが警視庁への取材でわかりました。男性は東京オリンピックの聖火ランナーに選ばれていましたが、新型コロナウイルスの影響で延期となったうえ、店は営業を縮小し、先行きを悲観するような言葉を周囲に漏らしていたということです。
先月30日の夜、東京 練馬区のとんかつ店で火事があり、客席付近で店主の54歳の男性が倒れていて、搬送先の病院で死亡しました。

警視庁が現場の状況を調べたところ、遺体には油を浴びたような形跡があったということです。遺書は見つかっていないということです。

近くの住民の話によりますと、男性は妻とふたりでとんかつ店を切り盛りしていて、東京オリンピックの聖火ランナーにも選ばれ、参加する予定だったということです。

しかし、新型コロナウイルスの影響で聖火リレーは延期となり、緊急事態宣言が出されたあと、先月13日から店は営業を縮小し、最近は先行きを悲観するような言葉を周囲に漏らしていたということです。

町内会の会長の78歳の男性は「亡くなった店主は明るくて、マラソンが趣味で、東京オリンピックの聖火ランナーにも決まっていました。最近は、目標にしていたオリンピックの延期に加えて新型コロナウイルスの影響で店の営業も落ち込み、うつうつとした様子だと聞きました。残念でなりません」と話していました。

店のHPには

とんかつ店のホームページには、店主の男性が東京オリンピックの聖火ランナーに選ばれたことを喜んでいた様子がつづられています。店のホームページには「東京2020オリンピック聖火リレーの聖火ランナーに選ばれました!皆様、ぜひ応援をお願いします!」と記されていました。

町内会長「残念でならない」

とんかつ店がある町内会の会長の78歳の男性は「亡くなった店主は明るくて、町内会活動にも協力的な人でした。マラソンが趣味で、東京オリンピックの聖火ランナーにも決まっていました。1か月ほど前に店に行ったときは変わった様子はありませんでしたが、最近は、目標にしていたオリンピックの延期に加えて新型コロナウイルスの影響で店の営業も落ち込み、うつうつとした様子だと聞きました。そのため、この店が大変な状況だから何かできないかと役所に相談に行っていましたが、その日に火事になってしまい、残念でなりません」と話していました。

店主の知人「思い悩んでいた」

とんかつ店の店主と知り合いだったという60歳の男性は「火事の3日前に会ったとき、店主の男性は『新型コロナウイルスの影響で店をやっていけないし、もうこれではだめだ。この状況はすぐには回復しないし、売り上げが上がらない』と話し、悩んでいました。一方で、今月は営業時間を短縮して再開したいとも話していましたが、火事があった日の夕方に会った時は『何日間か再開はしたいが、もう店はやめる』と言っていました。思い悩んでいたと思います」と話していました。

店主の男性については「奥さんの父親が経営していたお店を引き継いで奥さんとふたりで切り盛りしていましたが、評判はよかったです。味もおいしくて、私はカツカレーが好きでよく頼んでいました。また、商店街でイベントを開催するなど地域のためにも頑張ってくれる人でした」と振り返っていました。

店主の男性はマラソンが趣味だったということで、「東京オリンピックの聖火ランナーに選ばれて、ことし7月に走る予定でした。選ばれた時にはすぐに報告してくれて、喜んでいたし楽しみにしていたようです。それが新型コロナウイルスの影響で延期になってしまい、ショックだったと思います。感染拡大による影響がいろいろ重なってこういう結末になったと思うと悲しいです」と話していました。