中国で5連休始まる 70%近くの観光地再開も警戒 新型コロナ

中国で5連休始まる 70%近くの観光地再開も警戒 新型コロナ
中国では1日から大型連休が始まり、期間中、延べ1億人以上が国内旅行などで移動するとみられています。中国政府は観光地への入場者数を制限するなどして、新型コロナウイルスの感染が再び拡大しないよう警戒を強めています。
新型コロナウイルスの国内での感染拡大の勢いを基本的に抑え込んだとしている中国では、1日からメーデーの5連休が始まりました。

中国国内ではすでに70%近くの観光地が再開していて、首都・北京でも世界遺産の故宮がおよそ3か月ぶりに1日から観光客の受け入れを始めました。中国政府は感染防止対策として各観光地に対し、入場者数を大幅に制限するよう求めていて、故宮でもインターネットを通じた事前予約制にして1日当たり5000人に制限しています。

また北京中心部にある公園でも入場規制のほか入り口で体温検査が行われ、大きな混雑は見られませんでした。

公園を訪れた女性は「子どももいるので、感染はやはり怖いです。この公園は市外から来る人も少ないので、比較的安全だと思って訪れました」と話していました。

連休期間中に国内旅行などで交通機関を利用して移動する人は、去年の3分の1程度に減少するものの、延べ1億1700万人に上ると見込まれていて中国政府は新型コロナウイルスの感染が再び拡大しないよう警戒を強めています。

万里の長城にぎわう

世界遺産に登録されている中国の「万里の長城」では、連休にあわせて多くの人が訪れ、にぎわっていました。

北京の中心部から車で1時間半ほどの八達嶺の長城では、新型コロナウイルスへの感染を防止するため、入場できる人数を通常の30%のおよそ2万人に制限しています。

それでも午前中から多くの人が訪れ、マスク姿で散策を楽しんでいました。

久しぶりに外出したという女性は、「空気がよくて気持ちがいい。外にでるのはいいです。ウイルスには完全に打ち勝ったと思います」と話していました。

上海では大規模セール

1日から5連休が始まった中国の上海では、新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ消費を回復させようと、市の呼びかけに応じて大規模なセールが商業施設などで行われています。

このうち中心部にある、日系企業のテナントが多く入る商業施設では、家族連れなど多くの客がマスク姿で訪れ、買い物や食事を楽しんでいました。

友人と買い物に来たという女性は「ネット通販で現物を見ない買い物がずっと続き、おもしろくなかったのですが、実際にものを見て買うことができるようになり楽しいです」と話していました。

また、日系のドラッグストアの店長は「日本に行けない状況が続く中、店にある日本製の商品は本物です。多くの人にたくさん買ってもらいたいです」と話していました。

中国では、経済活動の再開の動きが続いていますが、ことし3月までの3か月のGDP=国内総生産の伸び率が、統計が公表されている1992年以降、初めてマイナスになるなど、新型コロナウイルスの影響で厳しい経済状況が続いています。

今回、大規模セールを呼びかけた上海市には、新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ消費を回復させるねらいがあるとみられ、どれくらい効果が出るのかに関心が集まっています。

宿泊業は厳しい状況続く

大型連休に入った中国でも、ホテルなど宿泊業の経営は厳しい状況が続いています。

中国のホテルなどでつくる業界団体が先月中旬、5500の宿泊施設を対象に行った調査によりますと、売り上げが去年の同じ時期の10%以下にまで落ち込んでいる施設がおよそ3割に上るなど、全体のおよそ8割の施設が半分以下に減っているとしています。

さらに、消費者の間で外食を控える傾向が根強いことから、6割以上の宿泊施設で飲食部門の売り上げが20%以下に落ち込んでいるとしています。

また、ほとんどの施設が何らかの形で従業員のリストラを行っていて、全体の従業員数は去年の年末に比べて20%近く減少しているほか、給料を削減したり、支払いを延期したりするなど雇用にも影響が及んでいます。

業界団体は、今後2か月程度は経営を楽観できない状況が続くものと分析しています。