ウチにも来たマスクの束 コロナ便乗の“送りつけ”

ウチにも来たマスクの束 コロナ便乗の“送りつけ”
外出自粛が長引く中、頼りになるのがネット通販。

その荷物に紛れて今、各地の家庭に届けられているのが頼んでもいないマスクの束です。代金を払い込ませようという「送りつけ商法」と見られます。

「そんなの大丈夫」と思っていても、留守番の子どもが受け取ったら? 返品のために電話してもいいの? 対処方法をもう一度確認しましょう。(ネットワーク報道部記者 宮脇麻樹、井手上洋子)

頼んでいた商品では、ない

それは1日午後2時のこと。

高知市内に住む40代の女性のもとに、郵便局から書留で荷物が届きました。

手芸用の小物をネット通販で頼んでいた女性は、てっきりその商品が来たと思っていました。ところが、開けてみると、保存袋に折れ曲がったマスクが2枚入っていたのです。

といっても、日本政府支給のマスクではなく、中国から送られてきたものでした。

元看護師の女性は、仲間内で“送りつけ商法”について注意しようと話し合っていました。そのため「もしかしたら、これがそうなのかも」と疑い、すぐに、最寄りの消費生活センターに連絡をしました。

消費生活センターからは、▽カードから引き落とされていないか確認すること、▽先方には連絡しないことなど、アドバイスを受けました。

また、「数日後に高額な請求書が届くかもしれないが無視すること」も念を押されました。

みんな、注意してほしい

「自分は情報を知っていたから大丈夫だったけれど、1人でも多くの人が被害にあわないでほしい」

女性は、注意喚起の思いを込めて、自身のツイッターですぐに自分の身に起きたこと、同様のケースがあったら近くの消費生活センターに相談するよう投稿しました。

すると、ツイッターのフォロワーからも「似たようなものが届いた」などと報告があったということです。
高知市の女性
「以前にも頼んでいる手芸用の小物などは中国からのものが多く、今回も自分の名前や住所、電話番号までが書いてあるので、まさか頼んでいない商品が届くとは思いませんでした。こういうケースが起きてしまうのはとても残念です」

帰宅したらポストに…

「帰宅したらポストに注文した覚えのないものが入っていて…」

こう話すのは東京都内に住んでいる50代の男性です。
4月28日の夜、帰宅するとポストに品物が入っていました。発送は中国となっていて、注文した覚えはありませんでしたが、記載されていた名前や住所、電話番号は男性のもので間違いありませんでした。少しだけ開封すると隙間から青いマスクが見えました。

どうしていいか分からなかったため、ネットで検索。

すると同じ写真のある投稿を見つけ「これが送りつけ商法なんだ」と気付いたそうです。
都内の男性
「14日間はそのままにしておいたほうがよいということがネットに載っていたので、とりあえずそのままにしています」

“個人情報が流れたのか”

それにしてもなぜ自分のところに商品が届いたのか?

男性に唯一、心当たりがあるのが、4月の初めにネット通販でマスクを注文したことです。
しかし、その商品は「出品者の都合により、やむをえず注文がキャンセルになりました」というメールが届きました。注文履歴にも残っていませんでした。
都内の男性
「正確なことは分からないし、あくまで予想ですけれど、このときの情報がなんらかの形で流れてしまったのかなと考えています。個人情報はすべてあっているのでとにかく気持ちが悪いし、不快な思いしかありません」

SNSで続々と…

ツイッター上では同じような投稿が相次いでいます。
「頼んだ覚えのないマスクが届いてびっくりした」

「実家にマスクが送りつけられた」

「『送りつけ商法』だと思うから受け取り拒否にして返そう。友達のところにも届いているみたい」

消費者庁に聞いてみた

実際に頼んだ覚えがないマスクが届いたらどうしたらいいのか。

消費者庁に聞きました。

担当者によると、新型コロナウイルスの感染拡大に乗じて、2月中旬ごろからマスクの部品や除菌グッズなどを送りつけられたという相談が寄せられるようになり、3月上旬になると、マスクについての相談が増えてきたそうです。送付元は国内だけでなく、海外から届くケースもあります。

こうした送りつけ商法にどう対応したらいいのか、消費者庁が作成したチャートに沿って説明します。

(1) とにかく、ひとまず落ち着く

送りつけにもいろいろあって、「代引きなので代金を支払ってください」と言われるケースがあります。覚えがないのになんとなく支払ってしまうと取り戻すことは、かなり難しいそうです。

ひとまず落ち着いて、注文したかどうかをきちんと確認することが大切です。

(2) 電話はダメ! “カモリスト”入りのおそれ

この時、慌てて荷物に書かれた電話番号に問い合わせするのもダメです。手練手管を駆使してくる業者を相手に、断り切れるかどうかわからないうえ、自分の電話番号など、住所以外の個人情報を知られてしまうことになります。

「この人は引っ掛かりやすい」と思われて、“カモリスト”と呼ばれる悪質商法でだまされた被害者のリストに名前が載り、別の悪質商法の被害に遭うリスクも増えてしまいます。

(3) 事前に電話があったかどうか

次にするべきは荷物が届く前に、マスクを買うよう電話での勧誘があったかどうかを思い出すことです。

電話があって売買契約の申し込みをした場合でも、もちろんクーリング・オフの対象になります。

事前の電話がなければ、売買契約は成立していないので、お金を払う必要も業者に連絡する必要もありません。

(4) 14日間保管してから処分

申し込んでいないのに送りつけられた商品については、特定商取引法にもとづけば届いてから14日間たてば、どのように処分してもいいそうです。

その後、事業者が「引き取りたい」と言ってきたとしても、応じる必要はありません。

業者に引き取りを請求すれば、保管する期間を7日間に短縮できますが、「電話番号を知られてしまうかもしれないので、連絡せずそのまま14日間待ったほうがいい」ということです。

ただし、その間に商品を使用してしまうと購入を承諾したと見なされてしまうおそれがあるので注意が必要ということです。

怪しい荷物 見極める習慣を

こうした怪しい荷物はできれば家に入れたくないもの。

そのために消費者庁の担当者がオススメするのは、以下の3つの方法です。

1:実際に頼んだ商品がいつ届くのか、宅配業者からの事前のメールなどで配達日を確認し、家族を含めていつ何が届くのか、カレンダーで共有しておく。こうすれば怪しい荷物が自然とわかります。

2:頼んだ商品が分からない場合は「調べて後で連絡します」といったん受け取りを保留にする。

3:覚えのない商品で「代引きで」と言われたら絶対に断る。

感染の拡大防止のため外出の自粛はまだ長引きそうです。家にいる人たちをねらった送りつけ商法の被害にあわないために、怪しい荷物を見分ける習慣、身につけましょう。