文科省 “小1 小6 中3の登校優先案” ガイドラインを通知

文科省 “小1 小6 中3の登校優先案” ガイドラインを通知
新型コロナウイルスの感染拡大で、休校が長期化するなか、文部科学省は5月1日、小学1年生、小学6年生、中学3年生を優先して登校させる案などを盛り込んだガイドラインを全国の教育委員会などに通知しました。
新型コロナウイルスの感染拡大で休校が長期化するなか、文部科学省は今後、段階的な学校の再開に向けたガイドラインを全国の教育委員会などに通知しました。

ガイドラインでは、時間帯などによって登校する学年やクラスをわけて卒業を控えた小学6年生と中学3年生や教師のサポートが必要な小学1年生を優先して登校させる案を示しています。

また、クラスを複数のグループに分けて、空き教室を活用して児童・生徒の距離を確保することや、音楽の授業で密閉された狭い部屋で歌の指導を行うことや、家庭科の調理実習など感染の可能性が高い学習は行わないことなどを盛り込んでいます。

萩生田文部科学大臣は、記者会見で「長期間、感染症と付き合っていかなければならないという認識に立ち、子どもの学びの保障との両立をはかることが大切だ。可能なかぎり感染リスクを低減させながら、段階的に実現可能な学校教育活動を実施していくことが重要だ」と述べました。

菅官房長官「変化する事態注視しながら検討」

菅官房長官は、閣議のあとの記者会見で、入学の時期などを9月に変更するよう求める声が出ていることについて、「ICTを活用した家庭学習など、子どもの学習機会を保障する取り組みを学校の設置者に進めていただいている。9月入学に関する意見があることは承知しているが、社会全体に大きな影響を及ぼすものであり、まずは学校教育再開に向けての状況を見極めながら、取り組みをしっかり進めていきたい」と述べました。

そのうえで、「感染症との闘いは長期戦を覚悟する必要があり、時々刻々と変化する事態を十分注視しながら、文部科学省を中心に必要な対応を検討していきたい」と述べました。

専門家「分散登校は大事なアイデア」

文部科学省が、新たに分散登校などのガイドラインを示したことについて、教育社会学者の名古屋大学の内田良准教授は、「いきなり学校を再開するのは感染症対策の面でも、あるいは子どもの心身のケアという意味でも相当な負担だと思うので、分散登校という形で段階的に再開していくことは大事なアイデアだと思う」と述べています。

そのうえで「学校教育の原点は家庭環境に影響されることなく、子どもは学校の中で同じような学びを受けられることだが、今は各家庭に任せきりになっている面もある未曽有の事態に対し、各自治体、学校で個別に判断しろというのは非常に難しいと思う。国は全国から知恵を集めて、こういう風にやるといいのではないかという具体案を出してくれると、学校現場も安心して取り組めるのではないか」と指摘しています。