10万円一律給付 対象外の人は生活に困窮も 新型コロナ

10万円一律給付 対象外の人は生活に困窮も 新型コロナ
住民基本台帳の記載がない日本に滞在する外国人は現金10万円の給付対象ではありませんが、ことし3月に日本語学校を卒業した外国人の中には新型コロナウイルスの感染拡大で帰国することもアルバイトすることもできず、生活に困窮しています。
南米コロンビア出身のカルロス・ドゥケさん(28)は、3月中旬に東京 荒川区の日本語学校を卒業しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で国際線の運航が停止となり帰国できずにいます。

ドゥケさんは、留学ビザの有効期限が切れる前に日本での滞在を延長するため就労が認められていない短期滞在のビザに変更せざるを得ず、収入の道が絶たれてしまいました。
ドゥケさんは今、卒業までカラオケ店やホテルでアルバイトしてためた金を切り崩し、食費も切り詰めて生活していて、先週コロンビア大使館から食料を分けてもらいました。

コロンビアにいる母親は今月、借金をして現金を送金してくれましたが、今月の家賃4万円の支払いに消え、手元には2万円が残るのみで来月の家賃を支払うことができません。

ドゥケさんは30日、卒業した日本語学校を訪れて支援を求め、学校側は肉やたまごなどの食料を提供することにしました。

ドゥケさんは「アルバイトもできず、母親に借金をお願いすることもできず、なすすべがない」と話しています。

日本語学校の新井時賛理事長は「日本語学校を卒業した生徒にも同じような状況の留学生が多くいる。政府にはこうした留学生がいることを認知してもらい、サポートしてほしい」と話していました。

海外滞在の日本人も補償訴え

海外への転出届を出して給付対象とならないスペインに滞在する日本人女性は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で職を失い、帰国もできずにいることから、海外での滞在を余儀なくされている人への補償を訴えています。

井野裕希さん(32)は、就労ビザがなくても、働きながら滞在することができるワーキング・ホリデー制度を利用して、スペイン北部のサンセバスチャンで料理やワインなどを提供する飲食店「バル」の調理係として働いていました。

しかし、スペインで新型コロナウイルスの感染が拡大し、3月に非常事態が宣言されると飲食店の営業が禁止となり、職を失いました。

井野さんは、勤務先とは正式な雇用契約を結んでおらず、スペイン政府からの補償はありません。

日本への帰国も考えましたが、航空運賃は高騰し、空港への移動も制限されていたことから帰国できずにいます。

貯金は底をつく手前で5月の家賃を支払うめどは立っていないということです。

スペインにおよそ1年間滞在する予定だった井野さんは、渡航する前の去年6月に海外への転出届を出し、27日時点で住民基本台帳の記載はないことから給付対象とはならず、10万円を受け取ることはできません。

井野さんは「日本とスペインのどちらからも見放され、どこに頼ればよいのか分かりません。生きるため、日本に帰るため、10万円が必要です。基準日までに日本に帰りたくても帰れなかった人はたくさんいると思うので、何らかの形で海外にいる日本人にも補償してほしい」と窮状を訴えています。