納税猶予など特例措置盛り込んだ法律が成立 新型コロナ

納税猶予など特例措置盛り込んだ法律が成立 新型コロナ
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、収入が大幅に減少した企業や個人事業主の納税を猶予するなど税制上の特例措置を盛り込んだ法律が、30日の参議院本会議で賛成多数で可決され、成立しました。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響に対応するため税制上の特例措置を盛り込んだ法律には、収入が大幅に減少した企業やフリーランスを含む個人事業主に対し、法人税や消費税、所得税などの納付や、固定資産税などの地方税の徴収を1年間猶予することが盛り込まれています。

対象となるのはことし2月以降、1か月以上にわたって、収入が前の年の同じ時期に比べ20%以上減少するなどした場合で、担保と延滞税は免除されます。

猶予が認められれば、年金や健康保険などの社会保険料も同様に支払いが猶予されます。

また、中小企業や個人事業主は、売り上げの減少幅が大きい場合、設備や建物にかかる固定資産税や都市計画税を来年度に課税される1年分に限って減免します。

さらに、赤字が生じた場合に、過去の事業年度にさかのぼって法人税額の還付を受けられる「繰戻し還付」の対象を、特例として大企業のうち資本金が10億円以下の企業に広げることも盛り込まれています。

法人税や消費税などの納税猶予

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた税制面での支援策には、深刻な影響を受けている企業や個人事業主の負担を軽減する措置などが盛り込まれています。

収入が大幅に減少した企業やフリーランスを含む個人事業主に対し、法人税や消費税、所得税などの国税の納付や、固定資産税などの地方税の徴収を1年間猶予します。

対象となるのは、ことし2月以降、1か月以上にわたって、収入が、前の年の同じ時期に比べ、20%以上減少するなどした場合です。

通常、納税や徴収を猶予する場合は、原則として担保の提供が必要で、延滞税や延滞金も課されますが、今回は特例として、いずれも免除します。

猶予が認められれば、年金や健康保険などの社会保険料についても同様に支払いが猶予されます。

こうした措置は、ビルや商業施設などの所有者がテナントなどの賃料の減免や猶予に応じて同じように収入が減った場合も対象とし、賃料への柔軟な対応を促します。

これらの納税や社会保険料の支払いの猶予で、全体で26兆円程度の負担軽減が見込まれるとしています。

固定資産税などの減免

売り上げの減少が続く中小企業や個人事業主は、設備や建物にかかる固定資産税や都市計画税を、来年度に課税される1年分に限って減免します。

ことし2月から10月までのうち、3か月間の売上高の減少幅が、
▽前の年の同じ時期に比べ30%以上、50%未満の場合は半額、
▽50%以上減少している場合は全額を免除します。

これについても、テナントなどの賃料の減免や猶予に応じて売り上げが減った場合も対象とします。この固定資産税などの減免に伴う地方税の減収分は、全額、国費で補填(ほてん)します。

「繰戻し還付」制度を拡充

赤字が生じた場合に、過去の事業年度にさかのぼって法人税額の還付を受けられる「繰戻し還付」の制度を拡充します。

通常は、収入や支出を帳簿につけて所得を申告する「青色申告」を行っている中小企業に適用されますが、特例として大企業のうち資本金が10億円以下の企業にも対象を広げます。

イベント主催者の資金繰り支援

政府の自粛要請を踏まえて文化や芸術、スポーツなどのイベントを中止した主催者に大きな損失が生じていることから、購入者がチケットの払い戻しを求めなかった場合、その金額を寄付と見なして税の負担を軽くする「寄付金控除」を適用します。

チケットの払い戻しを減らすことで主催者が手元に資金を残せるようにして、資金繰りを支援します。

中小企業のテレワーク促進

感染拡大を受けて広がる企業のテレワークを後押しします。テレワークに必要な設備やテレビ会議用の機器などを導入した中小企業や個人事業主に対し、取得額の最大10%を法人税額から差し引くなどの優遇措置を講じます。

10万円給付は非課税

緊急経済対策として実施される、現金10万円の一律給付や、児童手当の受給世帯に対する子ども1人当たり1万円の上乗せについては、非課税とします。

「住宅ローン減税」特例措置 入居期限延長

「住宅ローン減税」を受けられる期間を13年間に延長する特例措置について、年末までとなっている入居期限を来年の年末まで1年間、延長します。

感染拡大の影響で住宅の建設が遅れ、入居できる時期が遅くなった人が対象で、新築の場合はことし9月末まで、建て売り住宅や中古住宅などの場合は11月末までに契約を済ませていることが条件となります。

「環境性能割」軽減措置の適用期限を延長

自動車を取得した際にかかる、燃費性能を基準とした税金「環境性能割」も、税率が1%引き下げられる軽減措置の適用期限を、ことし9月末から半年間延長し、来年3月末までに取得したものを対象とします。この措置に伴う地方税の減収分は、全額、国費で補填します。