10万円一律給付などの補正予算 参院本会議で可決・成立

10万円一律給付などの補正予算 参院本会議で可決・成立
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新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、現金10万円の一律給付などの経済対策を盛り込んだ補正予算は、30日夜、参議院本会議で採決が行われ、賛成多数で可決・成立しました。
今年度の補正予算案は、30日、参議院予算委員会で、安倍総理大臣らが出席して質疑が行われたあと、全会一致で可決されました。

これを受けて参議院本会議が開かれ、討論で、国民民主党の伊藤孝恵氏は「一刻も早い対応が必要なため賛成するが、量的、質的に十分ではない。100兆円規模の大胆な財政出動を行い、治療薬やワクチンの開発、それに中小企業の事業継続などの支援に充てるべきだ」と述べました。

公明党の伊藤孝江氏は「収束の兆しが見えない中、経済や生活の不安にさいなまれながら努力と我慢を重ねている国民に一日も早く支援を届けるためにも、補正予算案を速やかに成立させる必要がある」と述べました。

そして、採決が行われた結果、補正予算は、れいわ新選組を除く各党の賛成多数で可決・成立しました。

補正予算は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、現金10万円の一律給付など、事業規模で117兆円に上る緊急経済対策を実行するためのもので、追加の歳出が一般会計で25兆6914億円となっています。

首相「与野党議員に感謝」

安倍総理大臣は総理大臣官邸で記者団に対し、「事業規模117兆円の過去最大の補正予算が成立した。早期成立にご協力をいただいたすべての与野党の議員に本当に感謝申し上げたい」と述べました。

そのうえで、「早速、あすから中小企業や小規模事業者に最大200万円の現金をお届けする『持続化給付金』の受け付けがスタートし、最速で5月8日から、スピード感を持ち、使いみちに制限のない現金をお届けする。また、実質、無利子・無担保で、元本の返済が5年間据え置きの融資を、お近くの地方銀行や信金、信用組合で受けられるようになる。また、税金や社会保険料の納付が猶予される。いま厳しい状況の中で歯を食いしばっておられる皆さんに、こうした支援を1日も早くお届けし、事業や雇用を必ずや守り抜いていきたいと考えている」と述べました。

緊急事態宣言延長の方向 追加対策は

政府は、緊急事態宣言を対象地域を全国としたまま、1か月程度延長する方向で調整を進めています。外出の自粛などが続けば経済活動が停滞し、さらに景気が落ち込むおそれがあります。

政府は今年度の補正予算の成立を受けて、10万円の一律給付や、事業者への給付金の支給、雇用調整助成金の拡充など、緊急経済対策に盛り込んだ政策の実行を急ぐ方針です。

ただ与野党では賃料の支払いが困難な事業者や生活が厳しい学生への支援について協議を進めることにしていて、追加の財源を確保するため新たな補正予算の編成を求める声も出ています。

政府は今後の与党などの議論も踏まえ緊急事態宣言の延長による経済への影響も分析したうえで、必要な対応を検討することにしています。

安倍総理大臣も28日の衆議院予算委員会で「さらなる対策が必要ならばちゅうちょなくやるべきことをやる」と述べています。

政府は30日成立した今年度の補正予算にも追加の支出に備えて、1兆5000億円の予備費を計上していますが、追加の対策を検討することになれば、財源の確保も課題となります。

麻生副総理・財務相「1日も早く国民の手元に届くことが重要」

30日に成立した今年度の補正予算について、麻生副総理兼財務大臣は30日夜、記者会見で「この補正予算を迅速かつ適切に執行することによって、10万円の現金給付や事業者向けの給付金、雇用調整助成金など、いろいろな支援が1日も早く国民の手元に届くことが重要だ。それぞれの支援策を執行するのは、各省庁だけではなく、自治体や関係団体などさまざまなので、協力をいただきながら、あらゆる運用面での工夫を講じていきたい」と述べました。

自民 世耕参院幹事長「さらなる補正予算案の議論も必要」

自民党の世耕参議院幹事長は記者団に対し「直ちに新型コロナウイルス対策を打つことができるようになった。特に、政府には、中小・小規模事業者や、個人の皆さんへの給付金が1日も早く支給されるよう取り組んでもらいたい」と述べました。

そのうえで「これで終わりではなく、店舗の賃料の問題は、自民党として、現実的で効果のある対策を迅速に打ち出していきたい。雇用調整助成金の助成額の大幅な引き上げも必要で、そのためには、さらなる補正予算案の議論も必要だろう」と述べました。

立民 福山幹事長「自粛や休業要請と補償はセット」

立憲民主党の福山幹事長は記者団に対し、「10万円や雇用調整助成金は1日も早く給付してほしい。一方で、事業者の賃料や学生への支援策などは全くまとまっておらず、あまりにも遅すぎる。政府には自粛や休業要請と補償はセットだと改めて強く求めていきたい。さらなる補正予算の編成も不可欠で、協力もするし、対案も提案していきたい」と述べました。

国民 玉木代表「『真水』の財政支出で100兆円を」

国民民主党の玉木代表は記者団に対し、「1人10万円の一律給付が盛り込まれたことや、スピード感を持って対応する観点で賛成したが足りない点がある。緊急事態宣言が延長された場合に、明確な財源を示さないままでは、国民の心が折れ、企業倒産や労働者の失業が驚くほど増えることになる。『コロナ国債』を発行し、『真水』の財政支出で100兆円を調達するなどの大規模な経済対策を速やかに取りまとめ提案したい。消費が急速に縮んでいるので、消費税を時限付きでゼロ%にすることも対策として十分ありえる」と述べました。

公明 山口代表「今後は与野党で幅広い合意を期待」

公明党の山口代表は記者団に対し、「極めて異例な流れではあったが、早期に成立できた。一刻も早く、医療体制の整備や、国民の生活を支えるための給付金などを実行していくことが重要だ。今後は、賃料の支援や、困窮している学生の支援の在り方などについて、与野党で幅広い合意ができることを期待している」と述べました。

維新 片山共同代表「必要なものが盛り込まれている」

日本維新の会の片山共同代表は記者会見で、「国難とも言うべきコロナウイルスとの大戦争に勝ち抜くためには、いろんな予算がいる。100点ではないが、必要なものが盛り込まれているので賛成した」と述べました。

また片山氏は「非常に困っている人がたくさんいる。わが党は身を切る改革の本家なので、党としてボーナスにあたる期末手当の3割をカットする」と述べ、会派に所属する国会議員の報酬をさらに削減する考えを示しました。

共産 小池書記局長「非常に問題だらけの中身」

共産党の小池書記局長は記者団に対し、「共産党は何でも反対するわけではなく、一刻も早く対応するために賛成したが、医療体制の整備に関する予算が桁違いに少ないなど、非常に問題だらけの中身だ。速やかに追加の財政措置をとることを求めたい。政府には野党の言うことにも耳を傾けて政策を実現してほしい」と述べました。

れ新 山本代表「額が少なすぎるし、成立時期が遅すぎる」

れいわ新選組の山本代表は記者会見で、「政府の足を引っ張るつもりはないが、額が少なすぎるし、成立時期が遅すぎるので反対する。企業倒産や労働者の失業を防ぎ、医療従事者らに危険手当を支給すためには、最低でも『真水』・財政支出で100兆円は必要だ」と述べました。