レムデシビル 米機関は“回復早める” 英医学雑誌“効果なし”

レムデシビル 米機関は“回復早める” 英医学雑誌“効果なし”
新型コロナウイルスに効果があるか研究が進められている薬「レムデシビル」について、アメリカの国立の研究機関は、患者の回復を早めることが確認されたと発表しました。一方で、イギリスの医学雑誌には、「有意な効果はみられなかった」とする論文が掲載され、来月中旬以降、発表される見通しの臨床試験の結果に注目が集まっています。
「レムデシビル」は、新型コロナウイルスの患者の治療に効果があるかまだ分かっておらず、世界各地で安全性や有効性を確かめる臨床試験が進められています。

こうした中、アメリカのNIH=国立衛生研究所は29日、アメリカなど各国の医療機関が共同で行っている臨床試験の一部を分析した結果、この薬を投与された患者は回復までの日数が平均で11日だったのに対し、投与されなかった患者は平均で15日だったとして、患者の回復を早めることが確認されたと発表しました。

トランプ大統領の会見にもたびたび同席するNIHのファウチ医師は「この薬がウイルスの働きを止めることが証明された」と述べ、今後、標準的な治療として使われるようになるという見方を示しました。

また、この薬を開発している製薬会社「ギリアド・サイエンシズ」も、この日、別の臨床試験で「前向きな結果が得られた」と発表しました。

一方で、同じ日、イギリスの医学雑誌「ランセット」には、これらの臨床試験とは別に、中国でおよそ230人の患者を対象に行った臨床試験の結果、「統計上、有意な効果はみられなかった」とする論文が掲載されました。この臨床試験は、予定していた数の患者が集まらなかったため中止になったということです。

各国で行われている臨床試験の結果は来月中旬以降、発表される見通しで、その結果に注目が集まっています。