補正予算案 衆議院で可決 あす成立へ 新型コロナウイルス

補正予算案 衆議院で可決 あす成立へ 新型コロナウイルス
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、現金10万円の一律給付などの経済対策を盛り込んだ補正予算案は、衆議院本会議で採決が行われ、全会一致で可決され、参議院に送られました。補正予算案は30日に成立する見通しです。
今年度の補正予算案は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、現金10万円の一律給付など、事業規模で117兆円に上る緊急経済対策を実行するためのもので、追加の歳出が一般会計で25兆6914億円となっています。

補正予算案は29日午前、衆議院予算委員会で安倍総理大臣らが出席して質疑が行われたあと採決が行われ、全会一致で可決されました。

これを受けて衆議院本会議が開かれ、討論で自民党の笹川博義氏は「事態の早期収束に向けて取り組み、生活と雇用そして事業を守り、その後は早期のV字回復を目指し政策パッケージを実行に移すのがこの補正予算だ」と述べました。

立憲民主党などの会派の小川淳也氏は「賛成はするが課題は多い。今後も事業主への家賃助成や困窮する学生への支援など、迅速かつ十分な追加対策が必要で、速やかに第2次補正予算案を編成するよう求めたい」と述べました。

そして採決が行われた結果、補正予算案は全会一致で可決され、参議院に送られました。

補正予算案は29日と30日、参議院予算委員会で質疑が行われたあと30日採決が行われ、参議院本会議でも可決されて成立する見通しです。

休日審議は9年ぶり

国会では通常、土日や祝日には、委員会や本会議を開かないことが先例となっており、休日に国会審議が行われるのは異例のことです。

衆参両院の事務局によりますと審議が深夜まで及び日付をまたいだケースを除いて、休日に審議が行われるのは平成23年4月末から5月1日にかけて、東日本大震災の復旧に向けた補正予算案を審議した予算委員会や本会議以来、9年ぶりです。

また、平成7年の阪神・淡路大震災の復旧に向けた補正予算案などの審議や、平成13年のアメリカなどの軍事行動を自衛隊が支援するためのテロ対策特別法案をめぐる特別委員会での参考人質疑なども、休日返上で行われました。

自民 森山国対委員長「スムーズに執行できるよう政府も努力を」

自民党の森山国会対策委員長は、記者団に対し「新型コロナウイルスへの対応のため、補正予算案の成立は急がなければならず、あす成立することになってよかった。国民から見ても、予算の裏付けがいちばん安心につながるので、スムーズに執行できるよう政府も努力してほしい」と述べました。

国民 玉木代表「政府に危機感とスピード感ない」

国民民主党の玉木代表は記者団に対し「家賃の支援などについて予算委員会で質問したが、政府に危機感とスピード感がないことがわかった。緊急事態宣言が延長された場合は、『コロナ債』を発行し、100兆円規模の財源を調達することなどを盛り込んだ新たな緊急経済対策を党で早急に取りまとめたい。消費税についても、5%への引き下げを提案しているが、時限付きで0%にすることも選択肢の1つだ」と述べました。

共産 志位委員長「規模も内容も不足」

共産党の志位委員長は、記者団に対し、「安倍総理大臣の予算委員会での答弁は、『緊急包括支援交付金』と『持続化給付金』の2枚しかカードがなかった。補正予算案は全体としては規模も内容も不足しており、さらなる補償が必要だ。休日に朝から質疑をやったのは私も初めてだが、緊急事態なので国会としても最大限の対応をとるのは当然だ」と述べました。

社民 福島党首「医療従事者への手当ても」

社民党の福島党首は、記者会見で、「補正予算案は、額があまりにも少なく、旅行クーポン券など、今必要でないものも含まれている。医療従事者への危険手当なども盛り込む必要があり、第2次補正予算案を編成すべきだ。人の命と生活を救えるよう、今後も不十分な部分を政府に要望していきたい」と述べました。