「陰性」判定の翌日に死亡 東京の80代男性 新型コロナウイルス

「陰性」判定の翌日に死亡 東京の80代男性 新型コロナウイルス
今月、東京の80代の男性が新型コロナウイルスの検査で「陰性」と判定された翌日、体調が急変して死亡し、その後の再検査で「陽性」となっていたことが捜査関係者などへの取材でわかりました。PCR検査は非常に感度の高い検査法ですが、ウイルスの量などによって、偽陽性や偽陰性が出ることがあるということで、専門家は「一度、陰性と判定されても体調に変化がないか周囲でも意識して見守り、異変を感じたらためらわずに病院への搬送を求めてほしい」としています。
捜査関係者などへの取材によりますと、東京 小平市に住む85歳の男性は高熱が5日ほど続いたため、PCR検査を受けたところ、今月10日、「陰性」と判定されました。

ところが、その翌日の11日、男性は顔が青ざめた状態になり、家族の通報によって病院に搬送され、死亡していたことがわかりました。

その後、再検査を行ったところ、「陽性」となり、新型コロナウイルスに感染していたことが確認されたということです。

専門家によりますと、PCR検査は、のどや鼻の奥、気管支の分泌物などに含まれるウイルスの遺伝子を人工的に大量に増やして検出するもので、非常に感度の高い検査法ですが、ウイルスの量や検体の取り方などによって、一定の割合で、偽陽性や偽陰性が出ることがあるということです。

感染症対策に詳しい北海道医療大学の塚本容子教授は「一度、陰性と判定されても、体調に変化がないか周囲でも意識して見守り、異変を感じたらためらうことなく病院への搬送を求めるなど、自分の身は自分で守る意識を持つことがより必要になってきている」としています。

『偽陽性』や『偽陰性』も

陰性と判定された男性の体調が急変して死亡し、その後、陽性と判定されたことについて、PCR検査に詳しい日本感染症学会の理事長で東邦大学の舘田一博教授は「PCR検査はウイルスの数が少なくても高い精度で判定できる非常に感度の高い検査法だが、綿棒を鼻に差すなどして検体を採取する際、患者が痛がるなどして十分に採取できず、正確に判定できないこともあり、『偽陽性』や『偽陰性』となるケースもある」と指摘しています。

また、そもそも『陽性』の状態でも肺炎を発症しないケースもあり、今回、男性が別の原因で亡くなったものの、たまたま陽性だった可能性もあるとして、どのような症状だったか検証する必要があるということです。

そのうえで舘田教授は「一度陰性と判定されても、発熱や胸の苦しみが続き、重症化の兆候が見られた場合には、再度、受診して検査するなど自分の身を守る対応が必要だ」と話しています。