10万円給付 “DV被害者は早めに申請を”都内の各自治体

10万円給付 “DV被害者は早めに申請を”都内の各自治体
新型コロナウイルス対策の1人10万円の給付について、都内の各自治体は、世帯主の暴力から避難している親子などが世帯主とは別に給付金を受け取れるようにするため、現在住んでいる自治体に早めに申請するよう呼びかけを強めています。
現金10万円の給付は、原則、世帯主が申請を行い、世帯主名義の口座に家族分がまとめて振り込まれますが、世帯主の暴力から避難し住民票とは異なる住所で生活している親子などは、世帯主の暴力からの避難が確認できる書類と所定の申し出書を現在住んでいる自治体に提出することで世帯主とは別に給付金を受け取れるようになっています。

被害者が申し出る前に世帯主にまとめて現金が振り込まれてしまうリスクをなくすため、総務省は30日を事前の申し出の期間としていて、都内の各自治体は呼びかけを強めています。

このうち東京 荒川区は、世帯主の暴力を理由に区外や区内の別の住所への避難が把握できているおよそ15人に個別に連絡を取って、「現在住んでいる市区町村に申し出を行ってほしい」などと案内しているということです。

問い合わせの中には「区には相談したことはなく、暴力から避難していることを確認する書類がないが、給付金を受け取るにはどうすればいいか」という内容もあり、区は、独自に作成した質問票をもとに区職員との10分程度の簡単な面談を行ったうえでDV被害の申し出を確認する書類を発行する対応もとっているということです。

荒川区総務企画課の小林直彦課長は「今まで行政機関による支援を受けておらず、必要な書類がそろっていない人でも現在の住所で給付金を受け取ることができるよう柔軟に対応したい」と話しています。

期限は30日までとなっていますが、この期間を過ぎても申し出は受け付けてもらえます。

DV被害者への給付の流れ

申し出を受けた自治体は、被害者のリストを作成して都道府県に提出します。

都道府県は、そのデータを整理して世帯主が住む都道府県を通して市町村に通知しますが、この際、被害者の所在地が分からないように処理されます。

このような事務処理は5月1日から8日にかけておこなわれ、世帯主が家族全員分を申請しても避難している人の給付金が世帯主に渡らないようにします。

総務省によりますと、避難している被害者が申し出をせずに本来受け取るべきではない世帯主に給付金が渡ってしまった場合は、世帯主は返還に応じることを同意したうえで給付金を受け取ることになっているため、返還に応じる必要があるということです。

DV支援団体 なお制度不備を指摘

世帯主の暴力によって住民票とは異なる住所に避難している親子などが、世帯主とは別に給付金を受け取れるようにする今回の措置について、DV=ドメスティックバイオレンスや性暴力の被害者を支援するNPO法人「全国女性シェルターネット」の北仲千里共同代表は「今回はDVによる被害で家を出たが、住民票を移していない人を救おうという措置だが、同居の状態でDVの被害を受けている人は基本的に申請できない形になっている。もし給付金を受け取りたいのであれば、そもそも同居してても世帯は別だという『世帯分離』にするか、別の住所に住むしかないが、それもすぐには難しい。しかも現在の措置では、今月27日時点での居住地を基準にしているので、今から手続きをしても間に合わない人がたくさんいる」と指摘しています。