解雇や雇い止め3000人超え 1か月で3倍以上に 新型コロナ

解雇や雇い止め3000人超え 1か月で3倍以上に 新型コロナ
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、勤め先の経営が悪化して解雇されたり、雇い止めにあったりした人は、見込みも含めて全国で3391人に上り、この1か月間で3倍以上に増えたことが厚生労働省の調査で分かりました。
厚生労働省が、ハローワークなどを通じて、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経営悪化を理由に、解雇されたり雇い止めにあったりした人の数を調べたところ、ことし1月末から27日までに見込みも含めて全国で3391人に上りました。

このうち、4月に入ってから把握された数が2000人以上に上っています。

また、解雇や雇い止めのほか、一部の労働者を休ませるなど雇用の調整を行ったか、検討している企業は1万2395社でした。

いずれもこの1か月間に3倍以上に増加していて、海外からの観光客や国内旅行が大幅に減少していることから、観光業や宿泊業などが目立っているということです。

また、これとは別に、経済的な理由で1か月に30人以上の従業員を解雇するなどした企業は、3月までの3か月間に249社で、合わせて9620人でした。

産業別に見ますと、最も多いのは製造業で113社、次いで卸売業、小売業が54社、宿泊業、飲食サービス業が16社、医療、福祉が15社などとなっています。

「来月20日付けで解雇」突然告げられたタクシー運転手は

都内にある、従業員およそ40人のタクシー会社で働く東村山市の西山伸さん(58)は、4月15日、他の従業員とともに5月20日付けで一斉に解雇すると告げられました。

自宅に突然郵便で届いたという解雇通知書には、「新型コロナウイルスの感染拡大で売り上げが激減し、事業の継続が不可能になったため、解雇する」と書かれていました。

西山さんによりますと以前はひと月に50万円ほどあった売り上げが、ウイルスの感染拡大の影響で最近では25万円ほどまで落ち込み、1日の売り上げが1万円にもならないこともあったということです。

西山さんは、「10年以上、タクシーの運転手として働いていますが、ここまで売り上げが下がったのは初めてで、会社の経営が厳しいのは理解できますが、一方的に書面で解雇を告げられ、気持ちの整理がつかず悔しい気持ちです」と話していました。

また、一度に30人以上を解雇する場合、会社は再就職を支援することが法律で定められていますが、これまでのところそうした対応はないということです。

西山さんは、「腰が悪く重いものを持てないうえ、歩くのもきつくなっているので、再就職先を探すにしても見つかるかどうか不安が大きいです。こういう社会情勢の中で突然の解雇というのは本当に厳しくウイルスの感染拡大が終息するまでは退職金などを取り崩して生活するしかない」と話していました。

タクシー会社の組合 解雇撤回求め団体交渉へ

タクシー会社の組合の委員長を務める山口晶さん(63)のもとには組合員からどう生活していけばいいのか分からないといった不安の声が相次いで寄せられているということです。

これまでに解雇を通告された社員は少なくとも30人以上に上り、今後、解雇の撤回をもとめて団体交渉を行うことにしています。

山口さんは解雇の方針を伝えられたあと、会社側に雇用調整助成金を使って休業させられないか相談しましたが、持ち出しが発生する可能性があることから、使う予定はないと伝えられたということです。

山口さんは「会社から十分な説明がないまま、一方的に解雇を通告され、皆、途方に暮れています。経営が苦しいのは理解していますが、雇用を守るための努力をしたうえでの結論なのか疑問があります。会社には誠実に対応してほしい」と話していました。