“9月入学”「社会全体で共有できるか課題」文科相

“9月入学”「社会全体で共有できるか課題」文科相
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休校の長期化を受けて、入学時期などの9月への変更を検討すべきだという声が上がっていることについて、萩生田文部科学大臣は、社会全体で共有できるか課題があるという認識を示しました。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休校を受けて、一部の知事や野党などから入学時期や新学期の開始時期について、9月への変更を検討すべきだという声が上がっています。

これについて萩生田文部科学大臣は記者会見で、「こういう事態が生じたときから、省内では考えていかなければならないテーマとして、さまざまなシミュレーションはしてきている。確かにメリットはいろいろある」と述べました。

一方で、萩生田大臣は「文部科学省だけで完結する問題ではなく、社会全体に影響を及ぼすもので、各方面との調整が極めて必要な案件だ。本当に社会全体でこのスケジュール感を共有できるのかどうかという課題がある」と述べました。

そのうえで、萩生田大臣は「今は、なんとか一日も早い学校の再開に向けて、しっかりと学びの保障ができるように各自治体、各学校と努力をしていくことに注力をしたい」と述べ、休校中の家庭学習の支援に取り組む考えを強調しました。

菅官房長官「社会全体に大きな影響」

菅官房長官は、午後の記者会見で「社会全体に大きな影響を及ぼすものであり、まずはICTなども活用した家庭学習などの取り組みをしっかり進め、子どもたちの学習機会の保障を図っていくことが重要だ」と述べました。

また、学校の再開については「状況の推移を見つつ、専門家の意見を聞きながら文科省が検討していく」と述べました。

自民 森山国対委員長「時期が違い大きな変化よく議論を」

自民党の森山国会対策委員長は、記者会見で「入学も卒業も時期が違ってくることになり大きな変化なので、よく議論しなければいけない」と述べました。

自民 世耕参院幹事長「遅れは夏休みの活用を」

自民党の世耕参議院幹事長は、記者会見で「9月入学にすると半年間留年させるのと同じことになる。いろいろなコスト負担も出てくるので、本当に社会的に耐えられるかだ。それよりも、オンライン授業で当面の対応をしっかりと行い、緊急事態宣言が解除されれば、遅れた分は夏休みを使いながら授業回数を確保していくべきだ」と述べました。

広島 湯崎知事「国際的な『9月入学』検討に値する」

学校の休校の長期化をめぐっては27日、宮城県の村井知事が「個人的には9月に入学や始業というのも1つの手だと思う」と述べるなど、入学時期などを海外に多く見られる9月に変更することを検討すべきだという声が出ています。

これについて、湯崎知事は28日の記者会見で「広島県でも休校期間を5月末まで延長したが、場合によっては1学期丸ごとになることもあるかもしれない。そのままで進学するのが適切かどうか、きちんと議論しなければならない」と述べました。

そのうえで「『9月入学』というのは、大きな選択肢ではないか。これを機に、国際的な9月に合わせていくのも1つの考え方で、検討するに値する」と述べました。

小池都知事「私は以前から9月スタート論者」

東京都の小池知事は28日夜、記者団に対し「9月スタートというのもありではないか」と述べ、29日に開かれる全国知事会で議題に上った場合は賛成する考えを示しました。

小池知事は「私は以前から9月に新学年スタートという論者の1人です。教育は世界の中の競争でもあるし、国際スタンダードという形に合わせていくのも1つかなと思う」と述べました。

そのうえで「混乱は生じると思うが、今、混乱が生じている。そういう時にしか社会は実は変わらないのではないか。その1つとして9月スタートというのもありではないか」と述べたうえで、29日に開かれる全国知事会で議題に上った場合は賛成する考えを示しました。

一方、都立学校で独自に9月スタートとする考えがあるか問われると「都の教育委員会との関係になるが、1つだけやっても足並みをそろえないといけないと思う」と述べ、議論が必要だという考えを示しました。

立民・国民・社民などの会派 作業チーム設置し検討へ

新型コロナウイルスの感染拡大で学校の休校が長期化していることから、立憲民主党などは、「9月入学」について検討を進めることになりました。

新型コロナウイルスの感染拡大で学校の休校が長期化していることから、立憲民主党、国民民主党、社民党などの会派は28日に会合を開き、対応策を協議しました。

そして入学や始業の時期を4月から9月にずらすことについて作業チームを設けて検討していくことになりました。

作業チームでは、ことし9月からの実施が可能かどうかや、卒業時期をいつにすべきかなど、学校現場の意見も聴きながら検討することにしています。

中心メンバーの立憲民主党の水岡俊一参議院議員は「子どもたちの学ぶ機会を守るという観点に立って、今の状況を乗り越えるための方法を考えていきたい」と述べました。