3月有効求人倍率1.39倍 3年半ぶり1.4倍下回る 新型コロナで

3月有効求人倍率1.39倍 3年半ぶり1.4倍下回る 新型コロナで
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仕事を求めている人1人に対して企業から何人の求人があるかを示す有効求人倍率は、3月は1.39倍で、3か月連続で前の月を下回りました。1.4倍を下回ったのは3年半ぶりで、厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が出始めているとしています。
厚生労働省によりますと、3月の有効求人倍率は季節による変動要因を除いて1.39倍となり、前の月から0.06ポイント低下し、3か月連続で前の月を下回りました。

有効求人倍率が1.4倍を下回ったのは平成28年9月以来3年半ぶりです。

企業からの新規の求人は、製造業、宿泊業、飲食サービス業をはじめほとんどの業種で減少し、全体では前の年の同じ時期と比べて12.1%の減少となりました。

一方、新たに職を求める人も3%減少しています。

都道府県別にみますと、
▽最も高かったのは岡山県で1.9倍、
▽次いで東京都が1.87倍、
▽福井県が1.84倍などとなっています。

一方、
▽最も低かったのは沖縄県で1.06倍、
▽次いで神奈川県が1.07倍、
▽青森県と長崎県が1.1倍などとなっています。

厚生労働省は「幅広い業種で求人が減少しており、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が顕著に出始めている。有効求人倍率は依然高い水準にあるが、今後の動向を注視する必要がある」としています。

新規求人 新型コロナの影響が顕著

3月、全国のハローワークに企業から提出された求人の数は前の年の同じ時期に比べて12.1%減少しました。

産業別に見ますと、
▽新規求人が最も減少したのは製造業で、前の年の同じ時期に比べて22.8%の減少、
▽次いで宿泊業、飲食サービス業が19.9%、
▽派遣会社などのサービス業が18.1%、
▽旅行会社や映画館などの生活関連サービス業・娯楽業が16.6%、それぞれ減少しています。

中でも宿泊業、飲食サービス業は減り幅が前の月からさらに拡大したことから、厚生労働省は新型コロナウイルスの感染拡大の影響が顕著に表れ始めているとしています。

厚労相「新型コロナの影響かなりあると思う」

3月の有効求人倍率が1.39倍となったことについて、加藤厚生労働大臣は「求人が求職を上回っている状況は変わらないが、新規の求人が減少しているほか、事業主都合の離職者が増加している。すべてかどうかというところはあるが、新型コロナウイルスの影響もかなりあると思うので、引き続き雇用情勢の影響をしっかり把握し、必要な対応をとっていきたい」と述べました。

官房長官「雇用維持に全力尽くす」

菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、「現在の雇用情勢は求人が求職を上回っているが、求人が減少しており、新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響に十分に注意する必要がある。政府としては、事業主に雇用を維持してもらうことが最も重要だと考えており、雇用調整助成金の申請書類簡素化や助成率の引き上げなどの措置を通じて、雇用の維持に向けて全力を尽くしていきたい」と述べました。

派遣社員の女性「面接すら受けられず」

求人が大きく減少している仕事の1つ、派遣社員として働く都内の40代の女性は、半年間働いたコールセンターの契約が3月、突然打ち切られたあと新しい派遣先が見つからずにいます。

女性は、派遣会社に次の仕事を紹介してもらいましたが、どれも採用には至らず、その後、50社ほどの求人に応募しましたが、面接すら受けることができませんでした。

月に18万円ほどあった収入は5月からゼロになり、家賃や持病の治療代も払えなくなる見通しで、これほど仕事が決まらない経験は過去になく、雇用情勢の悪化を実感しているということです。

女性は「派遣会社からウイルスの感染拡大の影響で今は仕事が紹介できないとはっきり言われた人もいます。求人は出ているものの本当に募集があるのか心配になります。このままの状況が続けば生活保護に頼るしかありませんが、できれば仕事をしながら暮らしていきたいです」と話しています。

専門家「雇用情勢 さらなる悪化を懸念」

労働問題に詳しい日本総合研究所の山田久主席研究員は「過去にさかのぼってみてもかなり大きな落ち幅で、想定されたとおり、雇用情勢の悪化が確認された。新規の求人数で見ると宿泊業・飲食サービス業では前の年の同じ時期と比べて2割の減少。また、娯楽業なども16%を上回る落ち込みとなっており、外出自粛や休業の要請が出されたことで、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が強く出ている。今後、注目するのは製造業、とりわけ自動車部品などの関連で落ち込みが目立っている。感染が拡大する前から米中摩擦などマイナス要因があったことに加えて、今回、世界でロックダウンが行われ経済がストップしており、雇用情勢はさらなる悪化が懸念される」と話していました。

そのうえで、今後の雇用情勢について、「いつ感染拡大が終息するのかが最大のポイントだが、秋以降、感染拡大の第2波が来るようなことがあれば、リーマンショックを上回るマイナスインパクトが出るおそれもある。その場合、1年ほどでおよそ100万人の雇用が失われかねず、雇用対策も今後、1年以上影響が残るという想定で第2段、3段の対策を行う必要がある」と話していました。