クルーズ船で活動 医療チームがまとめた成果と課題 新型コロナ

クルーズ船で活動 医療チームがまとめた成果と課題 新型コロナ
新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で活動した災害派遣医療チームDMATが活動報告をまとめました。下船させる優先順位を明確にしたことで、船内や搬送途中で死亡する人をゼロにできたとする一方、遠方に搬送した人のなかに重症化するケースがあったことなど課題も指摘しています。
災害派遣医療チームDMATは、2月8日から3月1日までクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で乗客・乗員の診療や搬出に当たりました。

DMATの事務局がまとめた報告書によりますと、活動を始めた当初は1日に60人以上が発熱し、船医などが対応するのに3日から4日かかっていたとしています。

DMATも加わって、発熱者の診療をしながら同時にPCR検査も行いましたが両方行うには1人につき40分かかることもあり、具合が悪いという訴えに応えるまでに1日以上かかる状態が続いたということです。

このため活動方針を見直して下船させる優先順位を明確にし、最優先は「発熱しているなど緊急に医療を必要とする人」次に「高齢者や基礎疾患があるなど感染した際にリスクが高い人」とし、「PCR検査の陽性者」は優先順位を下げることにしたということです。

こうした活動で、船内や搬送途中で亡くなる人やウイルス以外の理由で亡くなるいわゆる関連死をゼロにできたほか、軽症や無症状の人を遠方の医療機関に搬送することで、神奈川県の救急医療体制をぎりぎりのところで維持できたとしています。

一方で、ウイルスのメカニズムがわかっておらず遠方に搬送した人の中に重症化するケースがあったことや、人員不足で乗客・乗員の不安への対応が後手に回ったこと、船内で活動した隊員が差別的に扱われる事態が起きたことなど課題も指摘しています。